さぎの湯温泉で湯ったりな時間 源泉かけ流しの滞在拠点
50年以上の歴史受け継ぐ 安来苑・安藤宗久さん
8世紀中ごろ、白鷺がこの地に舞い降り、湧き出していた湯で足の傷を癒したという伝説が残る「さぎの湯温泉」。戦国時代、月山富田城を本拠としていた尼子氏の「御殿湯」として栄えたという。その後しばらくは忘れられた温泉地だったが、明治に入り再発見。温泉地内に足立美術館、安来節演芸館といった安来市を代表する観光施設があるのも特徴だ。国民保養温泉地に指定されているさぎの湯温泉に滞在することで安来観光はより深く楽しめる。
さぎの湯温泉には「さぎの湯荘」「竹葉」「安来苑」と、少し距離の離れたところに「夢ランドしらさぎ」の4軒がある。どの宿に泊まっても、毎分600リットルの豊富な湯量を誇る源泉がかけ流しで提供されている。
そのうちの一つ、安来苑の安藤宗久社長に館内を案内してもらった。まだ20代と若く、先代社長のお父さんが急逝したため4年前に後を継いだ。
「急きょ宿を引き継いだので、何も分からない状態でした。周辺の宿の皆さんに助けていただきました。ゆう心のお父さんと雲州の野津さんには厨房で基本から教えていただきました」。宿の名物「どじょう鍋」はお父さんがレシピを残してくれていたそうだ。
施設は決して新しくない。設備にトラブルが起こることもある。「突然のトラブルにも応用して対応できるようになりました」と笑う。曽祖父から「50年以上続く」安来苑の暖簾をしっかり守ってきた。
温泉を見せてもらう。手作り感のある太鼓橋を渡ると大浴場というユニークな設え。貸切風呂は露天風呂で、源泉がこんこんと湧いていた。
「お客さんから美味しかった、ありがとうと言われると嬉しいですね」。宿の仕事にも慣れ、自らの宿づくりも構想し始めた。「ペットと泊まれる宿として特化していきたいと思っています。ドッグランも作って、お客さんにもペットにも喜んでもらえる宿にしたい」。
客室は和室13室で定員40人。料金は1泊2食9200円から。昼食は最大100人まで収容でき、柳川鍋定食1500円など。
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