唐紙で和を強調 文珠荘
「和のリゾートプロジェクト構想」 客室を一新
宮津市の文珠荘は、天橋立の景観と一体化した世界観を感じることのできる「和のリゾートプロジェクト構想」を推進している。日本三景・天橋立の運河沿いに建つ立地を生かした宿づくりに取り組む。今年7月には「舞の棟」の客室をリニューアルした。
風の棟は、2階角に露天風呂付き特別室「海のみどり」を新設したほか、1—3階すべてを和モダンの客室に。いずれの客室も窓枠を額縁と捉え、天橋立や運河が一幅の絵画として楽しめる客室に仕上げた。
「和」を強調した今回のリニューアルでも目を引くのが客室に飾られている「文殊の輪」。
文殊の輪は、現代アートを手掛けるトトアキヒコさんの作品。鎌倉・室町時代から衝立や屏風、襖、壁紙などの室内装飾に用いられる唐紙で作られている。唐紙に描かれる図柄や紋様は版木が用いられるが、長い歴史の中で天災などによってその数は著しく減少した。現在残っている版木は600ほど。トトさんは、江戸時代から代々受け継ぐ600の版木に、新たに百枚を加える「百文様プロジェクト」を進めている。
同館がリニューアルに伴い採用するに至ったのは、文殊荘の幾世英麿社長がトトさん独自の技法で生み出した「トトブルー」にひと目で魅入られたから。唐紙は京都市内で400年以上続く老舗「唐長」のもので、トトさんの百文様プロジェクトに文珠の輪が加わり客室に取り入れることを決断した。
「唐紙や百文様は知る人ぞ知る世界だとは思いますが、洋と和の魅力ある部分が融合した宿づくりを進めています。トトさんの作品を客室に飾ることは宿づくりの画竜点睛になったと思っています」と幾世社長。
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