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「E-DMO」で新時代開く 下呂温泉の観光まちづくり

温泉軸にエコツーリズム推進 地域一体で取り組み

下呂温泉は古くから名湯として親しまれてきた岐阜、ひいては中部温泉界の雄。下呂温泉観光協会(瀧康洋会長=水明館)では、近年はいち早く誘客にマーケティングの手法を導入、一時期は低下傾向にあった年間宿泊者数も2015、16年度は2年連続で100万人を突破するなど着実に成果を上げている。16年4月には同観光協会を日本版DMO(Destination Management/Marketing Organization)候補法人に登録、全国初となるエコツーリズムとDMOを組み込んだ「E―DMO」の確立に注力。地域一体となった取り組みで下呂観光の新時代を切り開く。

マーケティングの導入からDMOへと観光振興の手法の確立に至ったのは2011年の東日本大震災がきっかけ。宿泊客が激減し、観光地にはマーケティングとプロモーションの重要であると地域全体が再認識した。市や旅館組合、観光施設、観光協会などで誘致宣伝委員会を組織し、県や県観光連盟などの実施計画とも連携を取ったプロモーション計画や、ユーザーの需要に柔軟に対応できる体制を整備した。

この時点でDMOに必須のマーケティングデータはある程度そろっており、あとはマネジメント面の強化が課題。勘や経験など主観的な要素でなく客観的なデータを収集・分析し、KGI(経営目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)、PDCAサイクルを明確化する組織を確立、DMO登録というのは自然な流れだった。

瀧会長はDMOにとって最も重要なのは「魅力があり稼げる地域となって、地域経営の推進役としての役割を担えるかどうか」と語る。そこで選択した方向性が「E―DMO」。豊かな自然環境を観光に生かし環境保全、地域住民の振興も図るというエコツーリズムは下呂温泉のDMOにとって最適な事業だ。観光振興に加え環境保全も加えることで持続可能なものにすることも念頭に置く。

具体的には、下呂市エコツーリズム推進協議会を設立し、エコツーリズム推進に関する全体構想を策定。市内小坂地区の「滝めぐり」など現存するメニューに加え、新しいプログラムを開発する。開発にはマーケティングとマネジメントを導入、客層を見極め成果を追求する。エコツアーガイドの養成も行うなど質の向上はもちろん欠かさない。

下呂温泉観光協会

下呂温泉が目指す道は
地域資源を十二分に生かした「エコツーリズム」
(写真は下呂市小坂の「滝めぐり」)

17年度はウオーキングで地域特有の自然や歴史をめぐりながら地元の食を味わい、温泉に入る「ガストロノミーウォーキングイベント」も実施する考え。

そのほか、DMOではまち歩きが楽しめるスイーツの開発や、市内をめぐるスタンプラリー、メディア活用とウェブプロモーションを展開。下呂温泉を広域観光拠点とする体験・滞在型プログラムの開発、旅行商品造成で周囲の市町村との連携も図る。17年度は「アジア三名泉」を目指す取り組みも展開するという。

17年度の宿泊客目標は108万人。瀧会長が語る「小さな組織でも、まず動いてみること。リピーターに来てもらって地域の活性化につなげること。机上で物事を考えず現場主義を重視すること」の3点を軸に、DMOの機能を果たすことで市民の生活から岐阜県観光にいたるまで好影響を与えていく。

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