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宇都宮に“地下迷宮” 日本遺産「石」の物語を探る

「大谷石」と生きるまちの物語 採掘場や磨崖仏を訪ねて

日本遺産に認定されている宇都宮市の「地下迷宮の秘密を探る旅  大谷石文化が息づくまち宇都宮」。地域の産業、風土、暮らしに息づく「石」の文化の物語。石にまつわる旅が宇都宮の深淵に迫るキーワードのひとつになる。

宇都宮の「地下迷宮の秘密を探る旅」は、地元で採掘される「大谷石」にまつわる物語。凝灰岩の地層を持ち、この地では縄文時代から石とともに時を刻んできた。江戸時代に始まった採石産業は最盛期には年間89万トンも出荷するなど地場産業として繁栄をもたらし、その産物として地下に巨大な“迷宮”を遺した。

採掘場は、かつては約250カ所あり、最深で地表下約100メートルの場所に。昭和中期までは手作業で行われ、人の手で作られた、ひとつの石で構成された地下空間という神秘的な世界が広がっている。今も採石は続いており、地下空間は拡張を続けている、いわば“生きる遺産”だ。

宇都宮では大谷石は、神社や教会、住居、醸造蔵などに用いられるなど、都市、農村問わず暮らしの隅々にまで利用されている。奇岩群や採石場のほか、大谷石による建造物などがストーリーの構成文化財。これらを“探検”することが宇都宮を知ることになる。

物語の概要を知るにはうってつけのスポットが「大谷資料館」。目玉は、地下採掘場跡に実際に入れること。約2万平方メートル、最深で地下60メートルという巨大な地下空間は、ストーリーの神秘性をいやがおうにも高める。展示場では江戸―昭和中期の手掘り時代の資料を展示。採石道具や採掘方法、運搬方法の変遷を伝えるほか地質や機械化後の採掘など大谷石について広範に紹介している。料金は大人800円。

大谷資料館

大谷資料館で入れる地下採掘場跡。
神秘的な巨大な地下空間だ

資料館からほど近い「大谷寺」。ストーリーの構成文化財のひとつ「大谷摩崖仏」に出会える。日本最古の磨崖仏とされ、大谷石の岩壁に彫られた同寺の本尊・大谷観音のほか10体の磨崖仏がある。本堂自体が岩壁に包まれるように立っており、その光景こそ「石のまち」を体現しているよう。近くの大谷公園には岩壁に彫られた巨大な平和観音もあり、物語を追うには欠かせないスポットになっている。

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