「いだてん」のふるさとを訪ねる(1) 金栗四三ゆかりの地・熊本和水玉名
マラソンの父がいた聖地 生家現存しミュージアムも開設
金栗四三が生まれ育ち、暮らした熊本県和水町と玉名市には四三ゆかりの地が点在している。四三は1983年、92年の生涯を閉じるまで、この地で多くの人と触れ合い、今も四三を知る人が多く暮らしている。当然、四三が生きた風土は色濃く残り、両市町を訪れれば、おのずと四三の人となり、「いだてん」の世界観を深く知ることにつながるだろう。「日本マラソンの父」を生んだ“ランナーの聖地”への旅が、現代の日本人の心に訴えかけるものはきっと強く大きいはずだ。
【金栗四三の生家】 四三の生家は和水町中林にある。築200年以上の木造建築家屋で、今も健在。玄関を入って土間横には家族が「学校部屋」と呼んだ四三の部屋があり、2畳程度の板張りのこの部屋に高等小学校を卒業するまでの思い出が詰まっている。
「いだてん」放映を機に、1月11日に「金栗四三生家記念館」としてオープン。12月23日までの約1年間にわたり、特別展示で四三の人となりを伝える。
「いだてん」のロケ地ともなった生家の内部を一部限定公開するほか、幼少期の様子や金栗家についてパネルや映像で紹介。四三が暮らしたころの農家の様子や造り酒屋だった当時の風景も再現展示する。開館時間は9―17 時。入館料は一般300円、中小学生は200円。20人以上の団体は100円引き。
【金栗四三ミュージアム】 四三の生涯に深く迫るなら「金栗四三ミュージアム」は欠かせない。三加和温泉ふるさと交流センターに隣接する形で1月11日にオープンした。2020年1月13日まで、少年時代から選手としてオリンピックまでの道のり、活躍、指導者として築いた功績まで、多彩な展示で、その生涯を体感できる。
四三の円熟期から功績を紹介するマッピングシアターや着用したユニフォームなどのゆかりの品、「四三のマラソン足袋」の50倍の大きさのソファー、足形・歩幅体験など四三にまつわる様々な展示、体験を用意。映像による「かけあし登校」体験や小・中学生時代のエピソード紹介などもあり、「日本マラソンの父」の歩みを楽しみながら学べる。開館時間は9―17時。入館料は高校生以上600円、中小学生は300円。20人以上の団体割引あり。
【金栗四三住家】 玉名市は四三が40年以上暮らした地。池部家に養子に入り、春野スヤと結婚。小田地区で充実した人生を過ごした。
四三とスヤ、養母である池部幾江ら家族が暮らした住家は、築120年超となった今も現存。「いだてん」放映を機に、遺族から市へ寄贈され、内部の座敷などを玄関や縁側から見学できるようになっている。
隠居部屋として建てられた離れは金栗四三資料館に。四三と家族の写真や遺品など貴重な品々を展示している。
【金栗四三の墓】 住家から徒歩2分、小田の風景が眺められる高台に、池部家の墓があり、ここに四三も眠る。
墓の前には、四三が書いた「体力、氣力、努力」の文字と、四三とスヤが詠んだ短歌が刻まれた記念碑も。ここまでの道は地域住民によって常に美観が保たれており、今も四三が地域の誇りであることが伝わってくる。
【玉名市立歴史博物館こころピア】 「いだてん」放映にあわせ、1月5日から「金栗四三展」が開催中。名誉市民である四三を顕彰しマラソン人生を振り返る。
同館では遺族から寄贈された金栗足袋やユニホームなどゆかりの品約700点を収蔵。今回は期間中、入れ替え方式で貴重な資料を展示するほか、大河ドラマもパネルで紹介する。
5月6日まで。無料。
【いだてん大河ドラマ館】 定番の「大河ドラマ館」は今年の「いだてん」でも登場。玉名市に1月12日にオープン、来年1月13日までの約1年間、様々な展示でドラマの魅力を伝えていく。
開館時間は9―17時。入館料は高校生以上600円、小中学生は300円。団体割引あり。
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