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和歌山・加太 “聖地”で祈る女性の願い−淡嶋神社「雛流し」

雛祭り発祥の地から始まる女子旅

和歌山市加太にある淡嶋神社。雛祭りの起源は、ここにあるという。その伝統は今も受け継がれ、毎年3月3日に行われる神事には全国から多くの女性が集う。女性の“聖地”の存在感が極まるこの日、特別な1日を過ごしたい。

同神社は1700年以上の歴史を持つ、全国の淡嶋神社、粟島神社などの総本社。特に女性の病気回復や安産・子授けなど女性の願いにご利益があるとされ、「女性のための神様」として全国から信仰を集める。

雛祭りと同神社の関係は、御祭神で薬の神様とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)と神功皇后の男女一対の御神像が男雛女雛の始まりで、雛祭りの日程、語源もこれに関係するとされる。紀州徳川家は代々、姫の初節句の際に雛人形の奉納を続けてきた歴史もあり、現代になっても全国から雛人形が寄せられることからも全国的な信仰の厚さがわかる。

毎年3月3日に行われる「雛流し」は、女性の願いを込めた雛人形を舟で海へ流すという伝統の神事。全国から奉納され、願いごとが書かれた雛人形を本殿でお祓いした後、白木の舟に乗せて雛祭りの歌とともに海へ送り出すことで供養する。

雛流し

願いごとが書かれた雛人形を
白木の舟に乗せて海へ送り出す

正午から始まる神事には例年、全国から多くの女性が参加。雛人形には女性の成長と幸せへの願いが込められ、参加した女性たちは幼いころから親しんだ雛人形が白波の間を進んでいく様子をじっと眺め、感謝と願いを祈る。涙を流す女性の姿も見られ、その神秘性と思いの深さに見ている側も心を打たれるのだ。

同神社のある加太は万葉の時代に歌に詠まれた景勝地。眼前の海がつくる風光明媚な景観、夕陽が美しい、「女子旅」にうってつけのスポットとして名をはせる。

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