国内外が認めた大歩危・祖谷(1) 「農山漁村の宝」特別賞に
徳島県が誇る秘境、大歩危・祖谷エリアが国内外から高い評価を受けている。景観や文化、おもてなし、まちづくり…。山間の渓谷で生きる人たちが育んできた風土そのものが観光の世界で高い価値を持つことが証明されているのだ。
訪日客誘致活動が評価 大歩危・祖谷いってみる会が受賞
徳島県三好市の「大歩危・祖谷いってみる会」(植田佳宏会長=ホテル祖谷温泉)が昨年11月、内閣官房と農林水産省が農山漁村活性化の優良事例を選定する「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の特別賞「フレンドシップ賞」を受賞した。インバウンド誘致の取り組みが高く評価された。
インバウンド対応への取り組みは、これまでもジャパン・ツーリズム・アワード2017で優秀賞を受賞するなど多方面から評価を受けてきた。今回の特別賞は「インバウンドに対応した農山漁村滞在型旅行(農泊)に取り組んでいる優良事例」として受賞した。
同会は、道路網が発達することで地域が通過点となることを危惧し、旅館ホテル5社で00年10月に発足。大歩危・小歩危や祖谷のかずら橋といった看板的存在のスポットに加え、地域の文化・風習、食など固有の風土を観光素材に磨き上げるなど観光振興の中心的存在として活動してきた。地域資源を活かしたイベントやツアーを企画・実施したほか、郷土料理や新名物、土産品を開発。近年は「日本の原風景」を前面に香港やシンガポール、米国の富裕層をターゲットとして、行政と連携したセールス活動を展開している。
結果、会員旅館ホテルへの宿泊客は、12年の約5万8千人から16年には約7万4千人に。訪日外国人宿泊者数は07年の約500人から、16年には約1万5千人にまで急増した。
この急成長は、ゲストハウスや民宿の宿泊客をはじめ、路線バスやタクシーの乗客数も増加するなど地域全体に効果が波及。地元の観光関係施設スタッフを対象とした観光英会話教室の開催、地元中学校では英語でおもてなしを学ぶ授業を行い英語で観光マップを作成、配布するなど地域に訪日外国人客を積極的に受け入れる姿勢も浸透させてきた。今後も地域に根付いた「おもてなし」を磨き上げ、さらなる成長を目指している。
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