「E―DMO」で躍進 下呂温泉、個人客シフトとエコツーで成果
自然を磨き「稼ぐ組織」へ
岐阜県下呂温泉が元気だ。近年低下が続いていた宿泊客数が、2015、16年度は100万人を突破、そして17年度は10年ぶりに110万人を超えるところまで盛り返してきたのだ。その理由は誘客にマーケティングの手法を導入、全国的なプロモーションを展開し地道に個人客を増やしてきたことが奏功したことによる。日本版DMOに登録、全国初となるエコツーリズムとDMOを組み込んだ「E―DMO」の確立に注力するなど、組織力の基盤を強化したからなせる業だ。地域資源を生かし、地域一体で下呂観光の新時代へ突き進む。
下呂温泉観光協会(瀧康洋会長=水明館)は、11年の東日本大震災で宿泊客が激減したことを機に、マーケティングの導入からDMOへと向かう観光振興の手法にシフト。マーケティングとプロモーション、マネジメント面の強化を組織として図り、DMO登録へと至った。
その結果が昨今の好調。瀧会長は17年度の宿泊客数について「10年前と同じ110万人台だが中身が違う。10年前に比べると団体客は10万人少ない。震災以降、毎年個人客を地道に増やし続けた結果、個人客を10万人増やせた」と、個人客へのシフトの成果を語る。プロモーションの対象を国内観光客は従来の東名阪など大都市圏から全国的へ拡大、インバウンドは東アジア主体から東南アジア、欧州まで広げた結果が奏功した。
もうひとつの要因が「E―DMO」。DMOが地域経営の推進役として機能する、いわば「稼ぐ組織」となるために選んだ方向性がエコツーリズムで、豊かな自然環境を観光に生かし環境保全、地域住民の振興も図るというエコツーリズムは下呂温泉にとって最適な事業といえる。瀧会長によると、この取り組みも効果が出ているという。
同観光協会や下呂温泉旅館協同組合、市内各観光協会、JR東海などで下呂市エコツーリズム推進協議会を設立し、「下呂市エコツーリズム推進全体構想」を策定。これが今年4月に環境省から認定を受け、地域のブランド力アップ、観光誘客の促進への基盤が確立された。
認定は、自然保護と観光振興の両立で地域に生かす「エコツーリズム推進法」に基づくもので、環境省によるPRや、ツアー事業者、ガイド育成の支援などが受けられるメリットがある。
構想では、下呂温泉のほか御嶽山、小坂の滝、金山巨石群といったスポット、ニホンカモシカやライチョウといった生息する生物など多彩な自然資源に親しめる体験型・滞在型のエコツアーを開発することをうたう。認定を受けたことでツアーは旅客運送の事業許可なしに旅館ホテルなど宿泊施設からツアー目的地などへの無料送迎が可能にもなった。
同協会では、今後もE―DMOを発展させ、マーケティングやマネジメントを強化、地域主体の事業に注力する。観光客の滞在時間の延長に向け、スイーツの商品開発やレンタサイクル事業の拡充、「アジア三名泉」による相互交流も推進するなど、手を休めず前進を続けていく。
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