飛鳥時代の道後温泉が蘇る 17年9月に新温泉施設「椿の湯別館」誕生
日本最古の湯の趣十分
松山市・道後温泉に2017年9月、約30年ぶりとなる新しい温泉施設「椿の湯別館(仮称)」が誕生する。聖徳太子が入浴したと伝わる歴史から飛鳥時代をイメージした歴史の趣に満ちた空間で、温泉は本館と同じく源泉かけ流し。道後の新しい観光拠点として期待が集まっている。
同館は、温泉街にある市営温泉施設「椿の湯」に併設。市が2015年度からスタートさせたまちづくり計画「百年輝き続きる最古の湯・道後―外湯文化を受け継ぐおもてなしの環(わ)」の一環で、「日本最古の湯を再現した空間の創出」をテーマに建設が計画されていた。
地上2階建ての建物は、延べ床面積約1600平方メートル。瓦葺きに朱色の柱といった飛鳥時代の建築様式を取り入れ、屋根の上には塔屋と一対の鴟尾(しび)を配置する。中庭は聖徳太子が入浴した際に詠んだとされる「椿の森」をイメージし、椿が生い茂る環境を再現することで、往時の歴史風情を再現する。
館内は、1階に男女各50人が入浴できる大浴場と露天風呂を備え、源泉かけ流しの湯を開放感たっぷりに楽しめる。特別浴室として本館の皇室専用の浴室「又新殿(ゆうしんでん)」も再現。本館では入浴できないが、こちらは入浴可能に。一定以上の身分の人が湯浴みで身につける湯帳(ゆちょう)を着て、飛鳥時代の入浴を体験することもできる。
また、2階には約60畳の大広間、休憩室を設置。コンシェルジュによるおもてなしも行う。館内は和紙や漆器といった県の伝統工芸と、松山市が近年取り組んでいるデザイン・アートとのコラボレーション作品を展示し、新しい温泉文化の世界観もアピールする。
道後に偉人が入浴
約30年ぶりの新しい温泉施設として工事が始まった「椿の湯別館(仮称)」。聖徳太子にちなんで飛鳥時代をイメージした外観になるそうだが、聖徳太子だけでなく歴史上の偉人が入浴している。
聖徳太子が伊予の温泉を訪れたのは596年(法興6年)、太子は温泉に深く感動し、碑文一首をつくった。
1288年(正応1年)には鎌倉時代中期の僧侶・一遍上人が訪れ、温泉の湯釜に「南無阿弥陀仏」と書いたと言われる。この湯釜は現存し、湯釜薬師としてあがめられている。
1795年(寛政7年)と96―97年の2回、江戸時代の俳諧師・小林一茶が訪れた。「寝ころんで蝶泊まらせる外湯哉」の句を残した。
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