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【玉造】若い女性が歩くまち テーマは「美肌・姫神」

玉造温泉の温泉街を若い女性たちが歩いている。2006年から「美肌・姫神の湯」をまちづくりのテーマに掲げて、温泉街を“編集”。のんびり川を泳いでいた鯉は、恋占いのアイテムに。「どうしたら若い女性に来てもらえるか」の一点突破で温泉街をデザインしている。

温泉街を”再編集” 06年から取り組む

06年、松江市が道路などを整備することがきっかけだった。ハード整備だけでなく、テーマを立ててまちづくりを進めようと特別委員会を設置。せっかくなら、温泉街が華やぐ若い女性が歩けるまちにしようとターゲットを絞った。ほかにはない玉造温泉ならではのテーマとして「縁結び」「神話」が挙がったが、若い女性に訴える力は弱い。出雲国風土記に記載されていた「姫神」を据え、従来から温泉客の評価を得ていた「美肌の湯」を組み合わせた。

それからは「美肌の湯、姫神の湯」というテーマで温泉街を再編集し始めた。新しいハードを造るだけではなく、今あるものを「美肌」「姫神」につなげられないだろうかと考えていった。

温泉街のはずれにある玉作湯神社。境内に、住民が昔から信仰している「願い石」という石がある。願い事を唱えると叶うと信心を集めていた。そこに、神社の許可も得て「叶い石」を加えた。願い石に叶い石をつけて水を三度かけながら願いを念じ、転写式のお札に願い事を書いて奉納する。もとのお札は叶い石と一緒に御守袋に入れて持ち帰る。「願い事が叶うように」と。このセットを旅館ホテルなどで、1つ600円で販売した。昨年は年間5万個も売れるヒット商品になった。しかも、御守袋などは地域の障害者施設の皆さんが作成しており、地域内でお金が循環する仕組みもつくった。

願い石

玉作湯神社の「願い石」。
不思議な石に願いを込める

温泉街整備の一環で設けた源泉が湧き出す公園には、スプレー式の小さなボトルを常備し「美肌の湯をお土産に」と打ち出した。これはある時、若い女の子たちが持参したペットボトルにお湯を汲んでいる姿を見かけたことから発想した。ボトルは1個100円で売っている。

美肌の湯

お土産に「美肌の湯」。
若い女性にはもってこい

また、温泉街の真ん中を流れている川には鯉がいる。これもまた若い女性客の行動がヒントになった。地元の男性が日課にしているパンの切れ端を川に投げるエサやり。それを見ていた女の子グループが「わぁ、おじさん。私たちにもやらせてぇ~」。それをそのまま売り出した。コイのエサを「恋叶いの素」として。すると、鯉がすぐに食べれば「恋が叶う」というストーリーも生まれた。これも100円だが、売れ行きは上々だという。

恋叶いの素

温泉水ボトルと「恋叶いの素」。
単なるダジャレではありません

温泉街のあちらこちらに姫神スポットが増えていき、まちを歩く若い女性も目に見えて増えていった。玉造の温泉水を原料としたコスメショップ、トンボ玉づくりの体験ショップなど女性客向けの店が出店。昨年には3軒のショップが新規にオープンした。

09年からはフリーペーパーを作り、玉造に限らず周辺地域も含めて若い女性向けに編集、発行している。徹底した若い女性向けの戦略で、松江観光協会玉造温泉支部の角幸治さんは「全国でベスト10に挙げられる温泉地を目指す」と話す。

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