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耳をすまし自然と出会う-上高地を歩く 穂高連峰眺め大正池から明神へ(2)

歩けば気づく上高地の深み

20分ほど歩くと小さな分岐があって右に行くと田代池がある。池というより浅い水が林に向かって広がっている湿地のように見える。色が赤い。分岐に戻り、林間の道を進む。時々、太い木が倒れているのは台風のせいかもしれない。

田代池

田代池は全体が赤みがかって見える

田代橋のところで林間を出ると、ここからは梓川の右岸を歩く。視界が開け、川原も広い。2軒の温泉宿が並んで立っている。このうち上高地温泉ホテルでは、足湯がハイカーを迎えてくれる。

気づかずに通り過ぎてしまいそうに目立たたないウェストン碑に立ち寄り、河童橋までは10分ほど。梓川の対岸にバスターミナルが見えると対岸を歩く人が多くなった。大正池から河童橋までスタスタ歩くと50分ほど。

河童橋から明神までは左岸を歩く。小さな橋で清水川を渡る。清水川は湧水を水源とするわずか200メートルほどの川で、天候によって濁ることも涸れることもない。河童橋付近の旅館ホテルは、清水川の水を上水として利用している。

明神まで、ほぼ平坦な道が続き、すれ違う登山者とはあいさつを交わすことが多くなる。明神まで来ると観光客の姿はグンと減り、河童橋周辺とは違う上高地に足を踏み入れた感じがする。ここからは、明神岳から前穂高岳までの連山が、ひとつの大きな山のように見える。

明神から少し行くと、右に徳本(とくごう)峠の案内板がある。昭和初期に釜トンネルが開くまでは、島々から徳本峠越えが上高地への主要なルートで、このあたりが上高地の中心だった。

江戸期に木材の伐採や炭焼きで開拓された上高地は、明治期には牛や馬の夏の放牧場としても利用された。人とともに牛や馬も徳本峠を越えた。

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