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常滑・半田・碧南・西尾が連携「竜の子街道」 醸造文化の「うま味」の旅へ

酒、酢、醤油、味噌…醸造文化でつなぎ観光需要生む

愛知県の空の玄関口、中部国際空港がある常滑市から東へ、知多半島の入口・半田市を経て三河湾沿岸の碧南市、西尾市と続くルート。「竜の子街道」は、この4市連携による観光振興プロジェクトから名付けられた。4市を結ぶキーワードは「醸造」。古くから根付く伝統産業という地域文化でエリア全体をつなぎ、和食のルーツ・醸造による「うま味の世界」へ旅人を誘おうという趣向だ。

プロジェクトが始まったのは2016年4月。インバウンドの急増をはじめ観光が国策として存在感を増す中、愛知県を含む中部9県は「昇龍道」プロジェクトで広域観光連携を展開。しかし、常滑・半田・碧南・西尾の4市は昇龍道には接するものの主要ルートから外れていた。

そこで新たな観光振興策として浮上したのが、「竜の子街道」。4市を合わせて形づくり、常滑市を頭に回転させるとタツノオトシゴに見えることから、その名が付いた。

さらに4市には古くから酒や酢、醤油、味噌など醸造業が盛んだったという共通の文化があり、これを観光の軸に据えることを決定。昇龍道の隣にタツノオトシゴという“運”も重なり、4市で「竜の子街道広域観光推進協議会」を組織してプロジェクトはスタートした。

プロジェクトでは、醸造業にまつわる産業観光を軸に、食をはじめ地域独自の文化や景観など観光素材をアピール。サイトや動画、パンフレットを制作したほか、醸造品を使ったオリジナルメニューを開発し提供しているエリア内の飲食店を掲載したマップを用意した。今年3月にはPRイベントやモニターツアーを実施するなど、「竜の子街道・醸造の旅」の浸透に力を注いでいる。国内観光客に加え、訪日外国人客にもアピールしていく考えだ。

半田市の町並み

黒塀の醸造蔵が建ち並ぶ
半田市の町並み

観光のテーマは「竜の子街道」の別名でもある「UMAMI ROAD」。「日本の真ん中には、うま味の故郷がある。」をキャッチフレーズに、日本が世界に誇る文化「和食」のルーツには醸造文化があるという考えのもと、現在も稼働する蔵をめぐって「うま味のある旅」へ誘う。

「竜の子街道」の醸造文化を紹介しておこう。

愛知が誇る食文化を生んだ「味噌」は、この地ではコクのある「豆味噌」。17世紀後半、味噌の原型である豆味噌の醸造が知多で始まり、大醸造の郷として発展した。

「醤油」はたまりから白しょうゆまで多彩。西尾では江戸時代から製塩が盛んで、良質な「響庭塩」は知多でたまりの醸造にも使われた。白しょうゆは江戸時代末期、碧南で生まれ、今も白しょうゆの郷として現役。

「酒」は江戸時代には米番付で「上の上」だった知多の米を使った上質なもの。最盛期には知多半島で200以上の蔵元があったほど、酒の大生産地だった。江戸への海運の便利さから神戸・灘の酒と匹敵する勢いだったという。

「酢」は、一大メーカー・ミツカンが半田発祥。日本文化である寿司に欠かせないもので、江戸時代後期に酒粕から酢を造る「粕酢」から酢の醸造文化が始まった。

最後に「味淋(みりん)」。江戸時代、廻船問屋がみりん醸造を最初に手がけた。往時はそば店などで「三河みりん」と評判を集めた。

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