地域住民の“暮らしの質”を向上 下呂温泉観光協会が推進する「E-DMO」(1) コロナ前の水準に戻る―マーケティングが奏功
一般社団法人下呂温泉観光協会はこれまで、マーケティングと地域の観光資源を掘り起こす「E―DMO」の推進に力を注いできた。同協会の瀧康洋会長(水明館)は、リピーター率を高め観光消費額を増やすためのマーケティングに手応えを感じているとともに、地域住民の生活の質の向上が観光振興の目的だと強調。下呂温泉を中心とした地域の現況と今後の取り組みについて聞いた。
瀧康洋会長が描く近未来とは
―下呂温泉の現況を教えてください。
2022年度の下呂温泉の宿泊者数は93万1432人でした。対前年比でみると34万8868人増加しました。
この数字のうち、リピーター数は18万7695人でシェア率は20・2%になり、前年対比では3万4775人増の122・7%という伸びになります。
新規顧客数は74万3737人でシェア率は79・8%で、前年対比で31万4093人増、173・1%の伸びであることがわかりました。
エコツアー体験型の人数は2022年が2万5719人で、19年度比100%、消費額も22年度が4295万8590円で19年度比121%と新型コロナウイルス感染症前に戻るという数字になっています。
これは下呂温泉観光協会をはじめ、下呂温泉旅館組合、下呂商工会、下呂温泉合掌村、下呂交流会館、下呂市などが一体となって毎月戦略会議を開き、観光・宿泊の動向を検証し、誘致宣伝を行ってきたからこその結果だと思っています。
下呂温泉が本格的な地域振興のために地域マーケティングを始めたのは2011年の東日本大震災からです。マーケティングをやり始めて思ったことは、客観的事実に基づく現状を知るということです。この事実を把握できないとマーケティングはできません。客観的データに基づいて論理的に得られた事実は検証可能で、計画した事業の成功率は高くなるんです。マーケティングの目的は、既存顧客のリピーター率を高め、新規の顧客を獲得し、滞在時間を延ばすことです。
人とモノが動くだけでは地域活性化はできません。人とモノに加えて金が活発に動いて初めて地域活性化になるわけです。観光振興の目的は、地域住民の豊かな生活の質の向上を目指すことです。いくら人とモノ、金が動いても地域住民が豊かな生活の質の向上につながらないと、観光振興にはなりません。
欧州ではDMOの果たすべき目標が「誘客の量・消費の拡大」から「地域住民の生活の向上」に変化し、観光が地域で果たすべき役割が拡張していることを知っておきたいものです。我々を取り巻く環境の変化は待ってくれませんし、自分たちの都合のいいような変化もしません。我々が顧客を開拓することが大事だと思います。
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