鉄路に導かれ郷愁の世界へ JR木次線を行く
16/08/01
スイッチバックとトロッコ列車
たたら文化圏を縦断するJR木次線。中国山地の真ん中をのんびりと走る。鉄道ファンならずとも郷愁に誘われるこの路線の開設にも、たたら製鉄は深く関わっている。
木次線の建設を推進したのは、松江藩の三大鉄師の一つ絲原家12・13代当主の武太郎さん。自ら簸上(ひのかみ)鉄道の社長に就任し、1916年に松江市の宍道と雲南市の木次間を開通させた。鉄道の敷設は、たたら製鉄にかわる産業として木炭の輸送を担うことになり、地域経済を支える原動力になった。
現在の木次線は、急峻な中国山地を越えるための「三段式スイッチバック」が現存することで知られる。4―11月の金土日曜にはトロッコ列車「奥出雲おろち号」が木次―備後落合間を1往復している。
駅舎が社殿づくりの出雲横田駅から三井野原駅まで実際に乗車してみた。歩くようなスピードで列車は走る。運転士に聞くと、見通しが悪く倒木や動物にぶつかったりしないようにするためだそうだ。出雲坂根駅は構内に名水「延命水」が湧き、停車時間を利用してゴクリ。うまい。ここから勾配が急になり、スイッチバックのたびに運転士は行ったり来たりする。「こちらの席の眺めがいいですよ」と運転士に促された。日本最大級の二重ループ橋「奥出雲おろちループ」の絶景が広がった。
たたらの地は、鉄路が似合う。
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