そば、イチゴ、米、卵 たたらの里には食文化にもストーリー
自然の恵みを味わう
たたらの里は食文化にも、地域の歴史に根差したストーリーがある。山々や川、里の恵みが暮らしに溶け込み、私たちは食を通じてその一端を知り、味わうことができる。
寺社の境内で食文化を体感するユニークな食事処がある。奥出雲町の稲田神社。スサノオミコトの妻、イナタヒメを奉りパワースポットとしても知られる神社では、社務所に「姫のそば ゆかり庵」が併設されている。在来種の横田小ソバなど地元産100%のそば粉を使った十割そばを提供している。全国ブランド「仁多米」を使った素朴なおにぎりも美味。
奥出雲町はたたら製鉄に必要な砂鉄を採取するため山を崩した後、そばや米の耕作地とした。そのため町内にはそば屋が数多く点在、産地で直接挽いた新鮮なそばはファンが多い。
安来市の名刹、瑞光山清水寺では、境内の宿(紅葉館、松琴舘)で精進料理を味わえる。精進料理なので肉や魚を一切使わないが、葛を刺身に模したり様々な工夫が施されている。紅葉館の名物は「ウナギの蒲焼き」。豆腐に長芋とジャガイモを合わし、裏面に海苔をつけてウナギの皮を再現。見た目も味も本物と変わらない。参道では、名物の清水羊羹も味わいたい。
安来市が近年プッシュしている特産品がイチゴ。「章姫」「紅ほっぺ」などの品種があり、地元の女性や企業が参加して新スイーツを開発するなどブランド化を推進。一躍安来の新名物に躍り出た。まんじゅう、ワインなど品数が増えお土産にぴったりだ。
雲南市は、乳製品や卵の産地。全国的に知られる「木次乳業」は、この地域では外せないマストブランド。市内20店舗で提供している「うんなんオムライス」、専用醤油の元祖「おたまはん」で食べる卵かけごはんもぜひ。市内には4つの道の駅があり、その場で食べるのはもちろん、唐辛子「オロチの爪」など食関連のお土産が充実する。
また、雲南市の「食の杜 室山農園」は自然と共生した農業を実践し、食のみならずライフスタイルを提案している。自家製どぶろぐ、ワインなども楽しめる。2017年春から運行する豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス瑞風」の立ち寄り先に決まった。
2市1町には酒蔵も多い。水よし、米よし、空気よしで杯がグイグイ進むこと請け合いだ。
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