たたら文化圏の観光スポット(3) 安来節演芸館・鬼の舌震
「どじょう掬い」を生で 安来節演芸館
「どじょう掬い」で知られる安来節は、安来市の名を全国に知らしめた、いわば地域ブランド。コミカルな踊りは誰もが知るところだが、この伝統民謡の誕生も「たたら」文化のストーリーにかかわっている。
安来節の起源は江戸時代中期。多くの民謡が人の往来によって伝播し、それぞれの土地で独自性が生じたのと同様、安来節も鉄の流通に伴い発展、昭和にかけて全国的な人気となった。
この安来節の世界に気軽に飛び込めるのが「安来節演芸館」。桟敷席を模したホールで毎日、生の安来節の唄と踊りを披露している。公演後には実際に体験もあるので、照れずに挑戦したい。そのほか、安来のどじょうを使った料理が楽しめる食事処も備える。
恋叶う大渓谷 鬼の舌震
奥出雲町の山中にある、鬼の舌震(おにのしたぶるい)は国名勝の大渓谷。2キロにわたって続き、大馬木川の急流が岩を削ってできた奇岩や岸壁、清流が壮大な自然景観を作り出している。渓谷に沿ってバリアフリー遊歩道が整備されており、誰もが渓谷美を楽しむことができる。
渓谷の左右にそびえる岸壁から谷に目を落とせば、亀岩や水瓶岩と呼ばれる怪岩、河底には甌穴群。その上を清流が涼やかさと急流の激しさを織り交ぜながら流れていく。自然美の妙がここにはあり、秋には、この圧倒の景観に鮮やかな紅葉が映え、多くの観光客が訪れる。
珍しい地名は、出雲国風土記に記載されている、玉日女(タマヒメ)を慕ったワニが夜な夜な現れたことに由来する。この辺りは戀山(したいやま)と呼ばれ、近年は高さ45メートル、長さ160メートルの「舌震の恋吊り橋」が整備されるなど、恋を吊り上げるパワースポットとしても人気がある。土産物店で売られている玉日女伝説にちなんだハチミツ「恋みつ」、「鬼のハナクソ」などユニークな商品も話題。
上流と下流に駐車場があり、バスを回送できるため、ツアー時散策に便利。
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