ORCに乗って壱岐・対馬へ(1) 親しみ深い空旅
長崎から約30分の観光、生活の足
長崎の本土と離島を結ぶオリエンタルエアブリッジ(ORC)。現在、ボンバルディア式DHC8―201型(39人乗り)を2機保有し、長崎―壱岐、長崎―五島福江をそれぞれ30分、長崎―対馬を35分、福岡―五島福江を45分で結んでいる。県民や観光客の空の足として利用され、2013年には利用者数200万人を達成した。
同社は1961年に長崎航空として設立。2001年には中国や観光をはじめとした大陸との関係を内外に印象づけるために「オリエンタル」、島と本土の空の架け橋として長く愛され成長することを願って「エアブリッジ」を加えた社名「オリエンタルエアブリッジ」に変更した。
機体の3色はスカイブルーが空の青、エメラルドグリーンが島の緑、マリンブルーが海の青を表している。
ORCの特徴は路線がすべて島と長崎、福岡といった限られた路線を結ぶことに特化していることだ。しかも福岡―五島福江はともかく、壱岐や対馬は30分ほどの飛行時間しかないため、飛び上がってはすぐに着陸ということになる。
短時間の離陸と着陸の日々の繰り返しの中で、経験値は自ずと上がる。パイロットは飛行技術の向上につながり、客室乗務員も安全面の高い意識を持つようになるのは必然だろう。
そうなると、さぞかし機内は緊張感漂った雰囲気かと思いきや、いたってアットホームであることがORCならでは。生活路線としての役割も大きいことからリピーター客が多く、客室乗務員、乗客とも気さくに声をかけあう。なかには乗務員の名前を覚えている人もいて、親しみを持って接してくれるのだそうだ。客室乗務員も往路で会ったお客には「お帰りなさいませ」、「今日はいつもの座席と違うんですね」と、お客に合わせた声かけやあいさつを心がけている。
きれいなランディングに感動し拍手をするお客もおり、30分ほどの短い飛行時間は、人と人の心の距離感も縮めている。
また、客室乗務員が離島に住むお客から島のお勧めの店を教えてもらうことも少なくない。生の情報を得た客室乗務員は観光客に店を紹介し、島の魅力を観光客に伝える「架け橋」としての任務も果たしている。
こういった双方向で気遣いをし合える関係がアットホームな会話となり、ORC機内を和やかな雰囲気にする秘けつなのだろう。
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