隆盛も愛した薩摩の食 黒豚・ウナギ・甘味
ソウルフードに舌鼓
西郷隆盛を生んだ鹿児島薩摩は、海に山に田畑にと自然豊かな環境から食も大きな魅力。隆盛も好物が多くあったと伝わっている。食が美味しすぎてそうなったのかは判然とはしないが、その巨体を育んだ薩摩の食は「西郷どん紀行」の大きなピースとなる。
鹿児島が誇る食といえば、黒豚とウナギ。隆盛はいずれも好物だったようで、精力的な働きもわかるような気がする。
黒豚はしゃぶしゃぶや豚骨ラーメンが現代では定番の人気メニューだが、隆盛は鹿児島の郷土料理「とんこつ」を好んだと伝わる。豚の骨付きあばら肉を黒砂糖や焼酎、味噌などと煮込んだ、豚の角煮に似たような一品だ。薩摩藩士が戦場で作ったという男らしい料理は別名「武骨煮」。今も薩摩人のソウルフードとして親しまれている。
ウナギには愛犬家としての隆盛の逸話が。狩りの帰りに、鹿児島市の八坂神社横のウナギ屋を訪れ、大好物であるウナギを自身はもちろん猟犬にまで食べさせたという。現在ウナギの養殖量日本一を誇る鹿児島県で、本場の蒲焼きを食べるのも一興。
そのほか隆盛に関係する料理は、主君・島津家伝統の正月料理「焼きエビ雑煮」。地元特産のクマエビを使った逸品で、現在は正月期に仙巌園で味わえる。
また、隆盛は甘いものにも目がなかった。今も鹿児島の伝統銘菓として人気のあんこ入りの和菓子「かるかんまんじゅう」を食べたり、落雁でようかんを挟んだ霧島の銘菓「角まんじゅう」の名付け親になったりと、甘いもの好きを思わせる逸話が伝わる。現代の鹿児島の定番スイーツはかき氷の「白熊」。
食に関するエピソードが多い隆盛。サツマイモの生産や味噌、しょうゆもつくっていたというほど。ただ、お酒は苦手だったようで、名産の焼酎はあまり飲めなかったそうだ。
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