海士町で地域再生を学ぶ(2) 若者、よそ者で新事業
島が変わる! 島留学・図書館・岩ガキ
この春から観光協会が出資した株式会社島ファクトリー社長に就任した青山敦士さんに、海士町観光協会がパッケージ化している視察コースをざっと案内してもらった。青山さん自身も北海道出身のIターン組。
最初に行ったのはCASと呼ばれている施設。細胞(Cell)を磁場エネルギーで振動させることで、細胞を生きた状態(Alive)で保存するシステム(System)の略で、島の売り物のイカや岩ガキなどの海産物を東京などへ新鮮なまま送ることができる。町が建て、05年に設立した第3セクターふるさと海士が経営している。このシステムに投資した約5億円は、前述のコストカットで生んだ金を充てた。CAS商品だけで年間1億3千万円を売り上げている。
箕浦港を見下ろす高台に建つ隠岐島前高校に行った。生徒数の減少で統廃合の危機にあったが、学校の魅力化プロジェクトを推進。「島留学」などを打ち出し、県外からも生徒が集まっている。現在は1学年45人になり半数の22人は島外からの入学者だ。難関大学の合格者を多数輩出する特別進学コースのほか、島内のあらゆる職業の人が講師に立つ地域づくりのリーダーを養成する地域創造コースがある。
次いで、昨年開館した中央図書館へ行った。館内は町内外からの寄贈を含め充実した蔵書で、本棚が低いため開放感がある。子ども向けコーナーはじゅうたんが敷いてあった。青山さんは「休みの日にうちの子を連れてよく来ます。この図書館を見て移住を決めた子育て世代もいます」。公民館や診療所などでも本の貸し出しを行っており「島まるごと図書館」でもあるそうだ。
このあと、公共事業の減少により畜産業に参入した建設会社が経営し、隠岐牛をブランド化した隠岐潮風ファーム、天然塩を製造する海士乃塩の工場、地元漁師と脱サラのIターン者が事業化した岩ガキ「春香」の養殖場などを見て回った。
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