4つの島で出会いの旅
帰る時には「ありがとう隠岐!」
島根半島の北方40―80キロ沖合いの日本海に浮かぶ隠岐諸島。大小180あまりの島からなり、大きくは島前(どうぜん)と島後(どうご)に分けられる。島前は西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)の3つ、島後(隠岐の島町)は群島の中でもっとも大きい。
その4つの島は、それぞれ風土、趣が少しずつ違う。聞くところによると方言も少しずつ異なるそうだ。
西ノ島は、港の水の美しさに驚く。国賀海岸に代表されるダイナミックな海岸が知られるが、この海岸の上部や鬼舞展望所は一面の大草原。馬や牛が放牧されており、彼らがのんびり草を食む様はなんとも癒される。
中ノ島は、後鳥羽上皇が流された場所で、どことなく雅な感じがしないでもない。歴史文化の蓄積が今、地域再生のモデルとして全国から注目を集めている理由なのではないか、などと想像してしまう。
知夫里島は、ただでさえのんびりした空気が流れている隠岐のなかでも、さらに時をゆっくりと進めている風情なのだ。この島に降り立った途端、島の人口よりもはるかに多い牛のように歩みが牛歩のごとくなる。というか、せかせかするのを恥ずかしい気にさせられる。島の最高峰赤ハゲ山に登ると、まさに世俗のアカがポロポロとはげていく感じだ。
島後は、まちのど真ん中を流れる川に河童がいるとまことしやかに語られ、山も深くもののけが出てきそうな雰囲気。そして、この島は人がいい。もののけで慣れているのか、よそ者をどんと受け入れてくれる。先日、著名な歌手がライブに来て、全国からファンが押し寄せた。帰路につくファンがフェリーで隠岐を離れる様子をユーチューブで公開している。彼らは「ありがとう!隠岐」と叫んでいたのだった。
4つの島を時間が許す限り、ゆっくりと歩こう。小さな発見と温かい人たちに繰り返し出会うはずだ。
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