隠岐ジオパークを行く(2) 生態系・文化も独自性高
生物も文化も人もここだけ
そして、独自の生態系も隠岐を特異な存在として際立たせている。隠岐の固有種は、動物ではオキノウサギやオキサンショウウオ、植物ではオキノアザミやオキシャクナゲ、オキタンポポなど。なかでもオキサンショウウオや杉は、陸続きだった時代と離島になった時代の進化を表しているとされる。オキサンショウウオは、池や沼に生息する止水型と沢や渓谷の流水型の両方の特徴を持っている。杉は、隠岐の杉が日本海側の杉のルーツとされ、氷河期と温暖期の変化を示しているという。島後の三大杉である樹齢2千年の八百杉や800年の乳房杉、600年のかぶら杉など特徴的な杉が今なお生きている。
海も隠岐ジオパークの見どころ。キサンゴやニホンアワサンゴなど南方系のサンゴ、クロキヅタという亜熱帯地域にいる海草も自生する。
生態系が独自なら、文化も独自性が高い。島後では今も黒曜石が採取されているが、隠岐産の黒曜石は日本各地にとどまらず日本海沿岸諸国でも見つかっている。黒曜石は火山活動に伴いできる石で、石器時代には矢じりや包丁など刃物として使われた。隠岐からは3万年も前から運ばれていたという。
また、隠岐の伝統行事として知られる牛突きは、鎌倉時代の承久の乱で隠岐に流された後鳥羽上皇を楽しませるため島民が始めた。隠岐には、後醍醐天皇や小野篁らも流されている。罪人とはいえ皇族や貴族が配流されたことから、当時から隠岐は豊かな離島だった証左とされている。
そのほか、映画「渾身」の公開で全国区になった隠岐古典相撲をはじめ、大陸文化の名残を伝える隠岐国分寺蓮華会舞など独特な伝統行事が少なくない。江戸期に入ると北前船の寄港地として栄え、隠岐しげさ節など新潟にルーツを持つ民謡などもある。
生活文化では、島後の福浦トンネルも必見スポット。明治初期に掘られた手掘りのトンネル、昭和期の機械で掘られたトンネルが並ぶ。今は徒歩専用で、2つのトンネルを体験できる。
島後・西郷港にある隠岐自然館で、隠岐ジオパークのあらましを知り、ジオパークを構成するジオサイトを見て回るのも面白い。主要な見どころスポットには案内板が整備されているほか、隠岐観光協会を通じて、各島でガイドの手配もできる。
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