観光業界専門紙「トラベルニュースat」おすすめ国内魅力再発見の旅

歩いて楽しい上高地(2) 記者も歩く

現代と歴史の交差点 自然と旅情の調和

新島々からのバスは新釜トンネルを抜け大正池に着く。上高地では往復のバスチケットを持っていれば、大正池で途中下車しても帰りのチケットで、再び、終点の上高地バスターミナルまでバスに乗車できる。大正池で景色を眺め、写真を撮り、再びバスを利用したい人には便利だ。

大正池でマガモを少し眺めてから歩き始めることにする。池の縁の木道を歩く。下を覗き込むとイワナが泳いでいる。六百山を望む田代池に寄り道してから、再び森林に入ると木道は二手に分かれる。

田代池

清澄感漂う田代池

梓川沿いを歩き田代橋に出ると、右岸に旅館が2軒見える。上高地温泉ホテルと上高地清水屋で、どちらも上高地では珍しい温泉旅館。その少し先にウェストン碑がある。

河童橋の際に立つのはホテル白樺荘。大正池からここまでは1時間くらい。河童橋で再び左岸に渡り、それから小さな橋で清水川を渡る。湧水が梓川に注ぐ、わずか200メートルほどの清水川は、天候にかかわらず濁ることなく、枯れることもない。上高地の旅館は清水川の水を上水として利用している。

小梨平の脇を通って明神池を目指す。少し行くと、左手に明神岳が迫ってくる。左に明神岳を眺めながら、トレイルを進むと明神館が見えてくる。河童橋からここまでは40分くらい。

明神まで来ると観光客の姿はグンと減る。河童橋周辺の賑わいとは別世界がある。ここからは明神岳、前穂高岳といった連山がひとつの大きな山のように見え、上高地の景色も雰囲気も違ったものになる。

明神を過ぎ少し行くと右に徳本(とくごう)峠への道を見送る。昭和初期に釜トンネルが開くまでは、島々から徳本峠越えが上高地への主要なルートで、このあたりが上高地の中心だった。

江戸期に木材の伐採や炭焼きで開拓された上高地は、明治期には牛や馬の夏の放牧場としても利用された。人とともに牛や馬も徳本峠を越えた。

上高地で牛や馬の主食となったのがニリンソウで、今でも群生し5月末から小さな白い花をつける。明神から次に目指す徳澤周辺にニリンソウの群生が見られる。

明神から徳澤までは50分ほど。こちらも道はほぼ平坦。徳澤では正面に連峰を望んだ。明神からはひとつの塊に見えた山が再び左右に開き連峰として迫る。右端に主峰の前穂高岳が見える。

宿泊施設が2軒あって、徳澤園は井上靖の小説「氷壁」ゆかりの宿だとあった。

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