食とツーリズム振興 ワインバレー構想を推進/長野県
イベントに頼らない“本物”の観光地へ
数えで7年ごとに開催される善光寺御開帳と諏訪の御柱祭を中心に回っていた、かつての観光信州。2つの全国区のビッグイベントが多くの来訪者を迎えるのは今も同じだが、イベントに頼らない観光目的地としての魅力の底上げも進む。
なかでも食への取り組みがめざましい。食とツーリズムをつなぐことで、信州産の農畜産物の拡販とツーリズムの振興というベストミックスを実現しようとしている。
長野県では、信州で生産・製造された味と品質が特に優れたものを認定する長野県原産地呼称管理制度や信州伝統野菜認定制度を導入。信州のオリジナル食材の開発でも成功を収めている。信州サーモン、信州黄金シャモ、信州プレミアム牛などで、これらは県農政部が中心になり進めている。
原産地呼称管理制度は信州産の優れた農産物や農産物加工品を認定する制度で、2002年に日本酒とワインから始まった。例えばワインの場合、原料は長野県内産ぶどうのみ、ワイン醸造のすべての過程が長野県内で行われていることなどが条件。
さらに著名なソムリエの田崎真也さん(国際ソムリエ協会会長)らがワインの味覚を審査。色調、香り、味、バランスの4項目について官能審査を実施し、厳しい審査を通過したワインだけが「長野県原産地呼称管理制度認定ワイン(N.A.C.ワイン)」と名乗ることを許される。
県ではこうした優秀なワインとツーリズムをつなごうと今年から「信州ワインバレー構想」を立ち上げ、ワインツーリズムの推進を図る。県内にある25社のワイナリーをエリアごとに日本アルプスワインバレー、千曲川ワインバレー、桔梗ヶ原ワインバレー、天竜川ワインバレーの4つに分け、ワインめぐり、ワイナリーめぐりのツーリズムを推進する。
秋に開かれている塩尻ワイナリーフェスタには2日間で2万人以上が訪れる人気になっており、長野ワインの集客力を見せつけている。長野県はワインの醸造量は全国6位ながら、ワイン用ぶどうの生産量は断トツの全国1位。高い比率で県内産ぶどうを使用しているから、その土地ならではの個性ある長野ワインが楽しめる。
この夏は涼しい信州でワインと食の旅に目覚めてはどうだろう。今年は黒部ダム完成から50周年、長野市、須坂市、高山村など北信エリアにゆかりの俳人、小林一茶の生誕250周年など、年間を通じたトピックスやイベントにも恵まれている。
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