八雲立つ天下の山城 月山富田城から始まる旅
戦国時代の幕開けに相応しい“戦う城” 整備進み城郭と城下町観光を
月山富田城は、伝承では12世紀半ばに砦が築かれ、14世紀末には防御堅牢な城として文献に登場する。15世紀に出雲国守護代として尼子持久(あまご・もちひさ)が入り以降170年もの間、尼子氏6代が居城した。
その最盛期は、山陰山陽11か国に勢力を伸ばし戦国大名として名を馳せた尼子経久(つねひさ)の時代。城郭研究の第一人者で日本城郭協会理事長を務める静岡大学の小和田哲男名誉教授は「戦国時代は東日本が北条早雲から始まったのならば、西日本は尼子経久から始まった。戦国時代の幕開けに相応しい“戦う城”の代名詞だ」と、まさに西の一大軍事国家の拠点がこの月山富田城であると評する。
加えて、小和田名誉教授が評価するのは次の点。「保存状態が良く、戦国時代の様子がよく残っている。何と言っても2度の大戦の舞台(大内氏、毛利氏との合戦)がそのままの状態で残っていることは奇跡」と話す。尼子氏に替わって入城した戦国末期の毛利氏、関ヶ原合戦後の江戸初期に居城とした堀尾氏の時代それぞれの特徴を見ることができる貴重な城跡であることも、月山富田城の希少性だとしている。
そして今、国の史跡に指定され日本100名城に選ばれている城跡にふさわしい整備が2015年から5カ年計画で進められている。これまで木々に埋もれ城跡であることが分かりにくかったが、麓の城下町・広瀬町から見上げると、城跡の石垣が天空を突くがごとく輝きを放つ。城跡への登山ルートも整備され、当時の曲輪群が露見されている。こうした城跡の見どころは、観光ガイド(有料)の解説と案内で歩くとより臨場感が迫ってくる。
さらに、今春からは「御城印」の販売が始まった。お城の御朱印で、地元の広瀬和紙を使い、ゆかりの城主の家紋や武将山中鹿介のシルエットをあしらっている。富田八幡宮のご祈祷済みで、登城記念にぜひ手に入れたい。1枚300円。
月山富田城跡に登城した後は城下町の広瀬町も散策したい。月山の麓には城の歴史を伝える安来市立歴史資料館があり、隣接する道の駅「広瀬富田城」はこの秋リニューアルする。まち中は古い町並みが残り、酒蔵や尼子一族の墓などもある。
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