日本遺産「国境の島・壱岐」(2) 一支国“王都”や古墳群を訪ねて
原の辻遺跡で古代体験 一支国博物館で見て触れて学ぶ
原の辻遺跡は「一支国」の王都跡で、国特別史跡にも指定。一支国の隆盛を伝える地として壱岐・日本遺産観光には欠かせないスポットだ。
同遺跡は弥生時代の環濠集落で、日本三大弥生遺跡のひとつ。島東部の深江田原平野に約100ヘクタールの広さを誇り、東アジアで最古とされる船着き場や、ムンクの絵のような「人面石」、棹秤に用いるおもりのようなものなど歴史を書き換える貴重な出土品が多い。調査済みの箇所は「原の辻一支国王都復元公園」として、往時の都の姿を現代に再現。高床式建物などを眺めながら自由に散策していにしえの世界を体感できる。隣接する「原の辻ガイダンス」では発掘品の見学、土器作りや火起こし、勾玉作りといった古代体験も。
環濠集落跡はカラカミ遺跡にも。弥生時代に栄え、交易で得た鉄製品を供給する中継基地、鉄器生産の鍛冶工房としての役割を果たした。
内海湾(うちめわん)は王都を訪れる古代船が往来した壱岐の玄関口。湾内の小島神社は神秘的な島として今も信仰を集める。
壱岐古墳群は6―7世紀の建造で、壱岐島内で280基もある。長崎県内で確認されている古墳約450基のうち6割を占めることからも壱岐の往時の繁栄がわかる。
うち6基の大型古墳が国史跡に指定されており、間近での見学も多くが可能。日本遺産に出土品も構成文化財となっている双六古墳は、全長91メートル、後円部の直径43メートルで県内最大の前方後円墳としてその威容を伝える。掛木古墳は直径30メートルの円墳で、県唯一のくり抜き式家形石棺が残っている。そのほかにも笹塚古墳や鬼の窟古墳などが認定されている。
「国境の島」として〝衝突〟の歴史を伝えるのは城だ。国史跡・勝本城跡は豊臣秀吉の朝鮮出兵で築城した出城。朝鮮半島に渡る兵士の食糧や武器の補給など軍事基地の役割を担った。本丸を囲む石垣、本丸への出入口が残り、晴れの日には対馬を望むことも。大河ドラマ「真田丸」に登場したことでも話題を集めた。16世紀の山城・生池城跡も日本遺産。
岳の辻は標高212.8メートルで、壱岐島最高峰の山。頂上には古代から烽火台や遠見番所が置かれ、国防の要衝として役割を果たした。
これら壱岐の日本遺産を巡る前に「一支国博物館」で壱岐の歴史を予習しておくと、旅はもっと深いものになる。
原の辻遺跡を望む丘の上に建ち、「人面石」など島内の出土品を一堂に展示。展示資料数は約2千点にもおよび、実物に触ることもできるものもあり、大陸との交流など壱岐の歴史をより身近に触れられる。弥生時代の王都を再現した巨大ジオラマ、子どもたち向けの発掘模擬体験など多彩な企画・展示手法で人気を集めている。
四方を海に囲まれ、島内には緑という壱岐。これら自然に包まれながら遺跡をめぐれば、壱岐が悠久の歴史のなかで育んできた風土とロマンが体感できるはずだ。
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