「比良比叡トレイル」ルート確立へ地元一丸
歴史と自然を観光活用
琵琶湖西岸、おごと温泉の西方に横たわる比良山地。南端に比叡山を擁する歴史豊かなこの山岳ルートを地域活性化へ活用しようと、おごと温泉観光協会をはじめ商工会議所や交通事業者、大学など地元産官学が一体となって、「比良比叡トレイル」としてコースを整備する取り組みが進められている。琵琶湖を望む大自然と地域の歴史を伝える素材を磨き、国内外の観光客を誘致しようという考えだ。
ルート確立を推進する「比良比叡トレイル協議会」は2017年8月に発足。おごと温泉観光協会やびわ湖大津観光協会、滋賀県山岳連盟、比叡山延暦寺、びわこ成蹊スポーツ大学のほかルート沿線の大津市、高島市の観光、交通事業者などが発起人として設立した。協議会会員にはJR西日本や京阪電鉄、大津商工会議所なども名を連ね、それぞれの見地から意見を出し合いながら地元一体となって事業を推進していく。
天台宗開創の地である比叡山が持つ山岳信仰の歴史、眼下に広がる琵琶湖や緑に包まれた風景、多様な地形に富んだなかに生息する植物、そしてそこに息づく文化。これら地域固有の魅力を地域振興に生かそうというのがねらいで、トレイルコースとして整備することで魅力をインバウンドも含めて内外に発信し誘客、観光とスポーツの振興につなげる。
推進事業としては、道標の設置や登山道・散策道の整備などを行ってコースを設定。3年以内の運営を目指す。協議会では16―17年に予定の全ルートを29回にわたり踏破・調査し、検討を進めている。問題個所の整備と道標の設置は多額の費用を要するとして賛助会員への入会や支援も呼びかけている。
「比良比叡トレイル」は、南方の比叡山から北に標高千メートル級の山々が連なる比良山地、総距離約50キロの道。世界遺産・比叡山の1300年にもわたり紡がれてきた信仰文化、豊かな自然で四季ごとに美しい姿を見せる山々、山稜から展望できる琵琶湖の絶景が魅力だ。延暦寺の荒行として知られる「千日回峰行」の修行の道もある。京阪や江若バスなどで山までアクセス至便というのも売りのひとつ。
大津市坂本から比叡山へ、そこから北へ向かい比叡山を下り途中越えから比良山地へ入って高島市朽木までの全コースを歩けば、所要日数は約3日。現在、一般旅行者向けに予定コースとして、手軽な山歩きから本格的な登山までの7コースを紹介している。
比叡山では京都市街を取り巻く山々をつないだ「京都一周トレイル」とつながり、将来的には比良山地北方の「高島トレイル」とつながることも想定。滋賀県西部―京都市にわたる一大トレイルルート確立も視野に入れている。
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