山陰歴史紀行「深掘り城めぐり」島根編 月山富田城・松江城
山陰歴史紀行の中心に座るのが「城」だ。松江など山陰の中心地は近世から城下町として発展し、独自の文化を育ててきた。現代にあっても名城と評価される城を訪ね、地域文化を深掘りしたい。まずへ島根県の名城をめぐる。
月山富田城 戦国山城の代表格
戦国の名将・山中鹿介が仕えた尼子氏の居城で、日本三大、五大山城の一つとされる。尼子氏といえば、毛利氏に破れ降伏した際に鹿介が「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に向かってお家再興を誓ったエピソードで有名。その人柄やイメージから地元住民、歴史ファンの支持を集める。
市は尼子氏を顕彰し、まちづくりを推進しており、昨年度から5カ年計画で城跡を史跡公園として整備。木々を伐採、散策路の整備などを行い、地形を利用した縄張り、随所に残る石垣群といった戦国山城の代表格の全ぼうを明らかにする。
城は苔むした石垣、御殿跡などが残り、国史跡に指定されているが、山頂部の木々の伐採などを行い、昨年11月には登城道の整備が完了。城跡一帯では現在も整備が進められており立ち入り禁止区域もあるが、本丸で登ることはできる。
安来市では清水寺も歴史紀行に外せない。境内の三重塔は、全国的にも珍しく最上部まで上ることができる。月山富田城に天守はないが、三重塔からの眺望は殿様気分。昼食は、参道の料理旅館で精進料理が味わえる。
松江城 雅な文化生んだ国宝
江戸時代初頭、初代松江藩主・堀尾吉晴によって建設、城下町が整備されて以降、松江のシンボルとして親しまれてきた。国で現存する12天守のうち、唯一の正統天守閣。近世城郭の最盛期の姿を保ち、2015年には国宝にも指定されるなど、城ファンにとって欠かせない名城だ。
松江城の別名は「千鳥城」。千鳥が羽根を広げたように見える入母屋破風の屋根からそう呼ばれる。四方を展望できる望楼式城郭で、日本最大の木造鯱鉾、見事な石垣、城内の仕掛けなど見どころは豊富。
松江城を深く知るには松江ツーリズム研究会が毎日実施している「松江城下めぐり」、松江観光協会が土日祝日を中心に実施している「国宝松江城!『鷹の爪団のSHIROZEME』体感ツアー」などを利用したい。
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