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日本遺産・山陰の「物語」の世界へ島根編 夕陽の出雲・たたらの奥出雲・小京都津和野

地域の文化財をまとめ、その価値や魅力を伝える「ストーリー」を認定することで観光振興や地域活性化につなげる文化庁の「日本遺産」。4月28日に今年度の認定があり、山陰からは島根県出雲市の「日が沈む聖地出雲―神が創り出した地の夕日を巡る」が選ばれた。これで山陰の日本遺産は5件に。地域の風土を物語るストーリーをたどれば、それこそ地域を深く知ることに直結する。めぐればめぐるほど奥深い、山陰の物語の世界へ―。今回は島根編。

日が沈む聖地出雲(島根県出雲市)

出雲市の「日が沈む聖地出雲」は、島根半島西端の海岸線を舞台にした夕陽と地域の信仰、営みにまつわるストーリー。出雲神話の舞台「稲佐の浜」と「日御碕」は夕陽の名所であり、古来、地元では夕日を神聖視して出雲大社と日御碕神社には夕日にちなんだ社が祀られている。海に沈む美しい夕陽は「日が沈む聖地出雲」の祈りの歴史を語り継いでいる。

稲佐の浜

「日が沈む聖地出雲」の中核をなす稲佐の浜。
神話の舞台であり夕陽の名所でもある

稲佐の浜や日御碕で観る夕陽を核に、稲佐の浜の屏風岩や日御碕灯台といった名所、自然景観、両社のほか、稲佐の浜で行われる出雲大社の神事「神迎神事」などの行事などがストーリーの厚生文化財。夕陽と神話の世界を訪ねたい。

出雲國たたら風土記(島根県安来市・奥出雲町・雲南市)

いにしえから続く鉄づくりという地域独自の文化が「出雲國たたら風土記」。砂鉄と木炭を燃やすことで高純度の鉄を生産する「たたら製鉄」は一時の衰退を経て近年、復活し、技術は現代に受け継がれている。鉄づくりの神話が残る安来市の金屋子神社、砂鉄採掘と関係が深い奥出雲町の棚田の風景、たたら製鉄の鉱山町の景観が残る雲南市の「菅谷たたら山内」など地域の暮らしに今もたたら製鉄の文化は根付いている。

菅谷たたら山内

たたら製鉄の鉱山町の景観が残る
「菅谷たたら山内」

民謡安来節や奥出雲町の祭事「大呂愛宕ばやし」といった郷土文化も鉄の交易により増えた人の往来からもたらされたもの。出雲そばや仁多米といった食も含め、自然と共生するたたら製鉄の文化は1千年といわず未来へと紡がれていく。

5月20日にはEXILEメンバー出演の映画「たたら侍」が全国公開。たたら製鉄の世界と侍に憧れた男の矜持を描いた。7月までと9―11月の日曜にはたたら文化ゆかりの各地を巡る周遊バスも運行されている。

津和野今昔(島根県津和野町)

幕末の津和野藩の風景を記録した「津和野百景図」。名所や自然、伝統芸能、風俗などが100枚描かれている。地域では町民が時代に流されず、地元の風土を継承。今も百景図に描かれた往時の空気感が漂う城下町としての存在感を保ち続けている。

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