伊勢路で幸結び 熊野古道世界遺産10周年で"聖地"へ
パワーと景観求めて歩く
伊勢神宮式年遷宮に続く三重県の大きなトピックは、今年迎えた熊野古道の世界遺産登録10周年。なかでも伊勢神宮と熊野三山を結ぶ「伊勢路」は昔から人気が高く、多くの巡拝者が歩いてきた。地元・東紀州エリアではこの機会に、2つの“聖地”をつなぎスピリチュアルなパワー溢れる「幸結びの路」の魅力をアピールしている。
伊勢路は江戸時代以降、庶民の間に広まり、伊勢・熊野詣は「伊勢に七度、熊野に三度」と言われるほど人々の憧憬を集めた。現代にあっても往時の面影を色濃く残す峠道や美しい景観、そして“聖地巡礼”のパワーを求め、格好のウオーキングルートとして年間約27万人が歩く。
伊勢路は全長170キロのなかに見どころが詰まっている。伊勢神宮を出発し、紀北町に入ると荷坂峠やツヅラト峠など峠の連続。だが、山々の眺望や熊野灘に浮かぶ紀伊の松島など見どころは十分だ。往時の石畳が残る馬越峠は歴史風情十分で観光客の人気も高い。
七里御浜を一望する松本峠を越えると、日本最古の神社と言われる「花の窟神社」がある。高さ45メートルもの巨岩を御神体としており、太古から続く神気に満ちた強大なパワースポットとして名を馳せる。
そのまま海岸の七里御浜沿いの浜街道を新宮市まで行けば、熊野速玉大社へ。その途中にある国の名勝天然記念物の巨大な岩山「獅子岩」は、海に向かって咆哮する獅子のような迫力に圧倒される。その一方で、熊野本宮大社を目指して山中を行けば、山腹に幾重にも棚田が広がる丸山千枚田の風景に懐かしさと癒しを感じるだろう。
伊勢路沿い各地では、世界遺産登録記念日の7月7日から年末にかけて記念イベントを展開中。御浜町では11月2日にミカンなど特産品販売やミカン狩りツアーなどを催す「御浜みかん祭り」、紀宝町では12月1日―来年1月5日に町ふるさと資料館前広場をイルミネーションで彩る「光の祭典」が開かれる。
12月13日には尾鷲市の県立熊野古道センターで10周年記念イベント「幸結びの路」フェスタを開催。トークセッションや演奏会、尾鷲節の実演などで節目を祝う。
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