須坂人の心意気
10/10/10
今夏、須坂を訪れた。旅では地元の人とのふれあいが嬉しく、地域性も知ることができる。記録的猛暑の中、須坂人の「心意気」に触れてきた。
信州そば「あがれや」は囲炉裏端で食べるスタイル。主人の深井次夫さんは客席で横須賀から観光で来たご夫婦と会話を楽しんでいた。深井さんの軽妙な語り口に会話は盛り上がり、ご夫婦は「須坂に来てよかった」と笑顔で席を立った。深井さんに囲炉裏にこだわった理由を聞くと「人とのつながりを大切にしたいから」。納得。
みそすき丼を味わおうと訪れた松葉屋そば店では、丼の量の多さに驚いた。目を白黒させていると、女将さんは「よく多いと言われるけど、せっかく来てくれたんだからたくさん食べてほしいという『おもてなしの心』。このあたりはどこもそうなんじゃないかな」と笑った。結局、信州そばもあわせて食べた。
「蔵の町並み」を巡っていると、行く先々で「まあ、一杯飲んでいってよ」とお茶をいただいた。訪れた観光客によく振る舞うそうだ。「まゆぐら」でボランティアをされているおばあさんは、自家製の奈良漬を差し出しながら「観光で須坂に来てもらえるのが嬉しくて。観光客の方々と話をするのが楽しみなんです」。
おもてなしの心が根付くまち、須坂。この地で暮らす人の温かい心が最大の観光資源かもしれない。
(長池貴志)