北信屈指の豪商大屋敷 田中本家博物館
10/10/10
須坂市街に悠然と居を構える田中本家博物館は江戸期以降、北信随一の規模と力を誇った豪商の大屋敷。豪壮なたたずまいはその当時の力を現代にも伝え、当時の文化の香りが息づいている。
敷地面積約3千坪に20の土蔵がずらり。一つの家として、現代にあっては考えられない規模だ。客殿や主家などの建物がそびえたち、四季折々の景色が楽しめる庭園も丹念に整備されている。その姿は、まさに「信州須坂に田中本家あり」と体言しているよう。
土蔵内には江戸―昭和期の調度品や民具が残され、質と量に専門家から「近世の正倉院」という声が挙がるほど。輝く器や色鮮やかな衣類、当時としては珍しかった玩具などその種類は多彩で、当時の文化が目の前に広がっている。
特筆すべきは保存状態の良さ。12代当主で同館の館長を務める田中宏和さんは「江戸時代の長持を開けると、その中から布団が出てきました。江戸時代のものとは思えないほど柔らかかったことにはびっくりしました。長持の質の良さを示しているといえるでしょう」。
品々は常設展示しており、季節ごとに企画展も実施している。