北斎ゆかりのアートと風情 小布施町の見どころ
10/10/10
小布施町は、江戸時代を代表する絵師・葛飾北斎が晩年逗留した地。町中心部には北斎ゆかりの風土が根づき、歴史と現代が融合したアート感溢れる町並みを形成している。静かなたたずまいの小さな町を歩いて、その風情を感じたい。
北斎館は、町内に遺された北斎の作品を収蔵する美術館。北斎の代名詞ともいえる浮世絵ではなく、小布施滞在中に描いた肉筆画や掛け軸など貴重な一枚ものを展示している。なかでも、龍と鳳凰、男浪・女浪の天井絵で彩られた祭り屋台2基は当時の美しさをとどめ、見る人を魅了してやまない。
その北斎を招いたのが豪商・高井鴻山。庶民のリーダーとして幕末の変革に関わった小布施の名士だ。今も残る高井家屋敷は「高井鴻山記念館」として鴻山の書斎や北斎のアトリエなどを公開。雄大な造りと技巧を凝らした装飾に当時の文化をしのぶことができる。
両館をつなぐように通る散歩道「栗の小径」は、小布施名物の栗をモチーフに、栗材を敷き詰めている。木陰の中、商家の美しい町並みを散策できる風情ある道だ。
周囲には「おぶせミュージアム・中島千波館」「現代中国美術館」など美的感覚をくすぐる施設が点在。若者向けの店舗も揃い、現代的な感覚と伝統が調和した年代を問わないスポットとして賑わいをみせている。