暮らしに根付く歴史の物語-和歌山の日本遺産(1) “稲むらの火”・和歌の浦
文化庁の日本遺産には和歌山県からも認定されている。今年5月24日には広川町の「百世の安堵」が認定され、これで県内の日本遺産は4件になった。地域の産業、文化、暮らしに今も根付く地域固有のストーリー。それを訪ねる旅こそ、和歌山県を肌で感じる奥深い旅になる。
百世の安堵(広川町)
認定タイトルには「津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産」も付されている。江戸時代末期、津波に襲われた際、濱口梧陵が田の稲むらに火を放ち、高台の寺社に逃げる人々を誘導、多くの命を救った、いわゆる「稲むらの火」を起源とする防災のまちづくりがストーリーの核だ。
広川町の海岸は、松が立ち並び、土盛りの堤防が海との緩衝地を形成、沖の突堤、海沿いの石堤と多重防御システムを構築している。まちは重厚な建物や並びに避難を意識したつくりになっており、現代日本が問われる災害対応の見本ともいえる文化が今も暮らしに根付いている。
濱口梧陵が築いた広村堤防と松、伝説の舞台、稲むらといった「稲むらの火」に関連する地は今も健在。濱口家住宅は耐震性などに工夫を凝らした重厚な木造三階建の御風楼が目をひく。町並みを訪ね歩き、濱口梧陵記念館で学ぶなどして防災文化に触れたい。
絶景の宝庫 和歌の浦(和歌山市、海南市)
万葉の時代から和歌に詠まれるなど風光明媚な景観をたたえてきた和歌の浦。潮の満ち引きで干潟の姿は変化を続け、常に違う表情を見せる。潮が満ちれば一面の海、入り江を取り巻く山では桜が寺社を彩り、まちでは祭礼行列が華やかさを伝える。和歌の浦の景観を愛してきた人たちによって芸術文化を育んできたその風土は、歴史的にも唯一無二の存在だ。
和歌の浦そのものはもちろん、屏風や和歌の浦十景を描いた絵画、焼き物「南紀男山焼」など文化資料に人々が和歌の浦に魅せられた様子が伝わる。
和歌が詠まれた玉津島神社や、紀州東照宮、和歌山城といった周辺の関係歴史スポットに繰り出し、万葉から江戸時代までの和歌山の風流を感じるのもいいだろう。
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