古戦場や名所旧跡が点在 北近江は”戦国エコミュージアム”(1)
江・浅井三姉妹博覧会とともに、古戦場や名所・旧跡が点在し戦国エコミュージアムでもある湖北一帯を巡ろう。
まず予習 地域全体の歴史を知る
地域全体の歴史を捉える意味でも、まずは長浜城歴史博物館を訪ねたい。1月3日からは特別展「浅井三代と三姉妹」を開催。江の像として唯一現存する崇源院像を、夏休み期の「江展」(7月23日―8月31日)でも特別公開する。特別展の会期12月4日まで、期間を区切ってテーマ展も併催。賤ヶ岳合戦と浅井三姉妹(2月1―28日)などが予定されている。天守の形をした博物館の最上階からは琵琶湖の眺めが美しい。入館料は大人700円。
展示施設では、小谷城跡の清水谷にある小谷城戦国歴史資料館にも立ち寄ろう。三姉妹博覧会「江のふるさと館」からも近い。浅井氏や湖北ゆかりの戦国武将の肖像や、小谷城絵図、城跡からの発掘出土品などを展示している。一帯の清水谷は、浅井氏一族や家臣の屋敷が建ち並んでいた。谷奥には長政と市、三姉妹の屋敷があったと伝わる。入館料は大人300円。
三姉妹激動の人生の幕開け 小谷城跡周辺で感じる合戦の空気感
小谷城跡がある小谷山と北国脇往還(国道365号)を挟んで真向かいにある小高い丘が虎御前山。小谷城攻めで信長が砦を築いた。山の北尾根には当時の遺構が残り、秀吉や柴田勝家、滝川一益、堀秀政、丹羽長政ら戦国武将の陣跡が残る。信長が陣を構えた山頂(標高224メートル)まで臨場感あふれる“戦国ハイキング”はいかが。
小谷城跡の近くには、浅井家の祈願寺・小谷寺が建つ。城の落城と同時に焼失したが、後に秀吉が再興し徳川幕府からも保護を受けた。国重文の孔雀文磐など多くの寺宝が残る。
信長の総攻撃を受けた浅井長政は、妻の市と茶々、初、そして生まれて間もない江を小谷城から逃がした。母娘4人は、長政の姉・昌安見久尼が入寺していた実宰院で匿われた。寺の山門は小谷城裏門を移築したものと伝わり、茶々が寄進した見久尼の木造が本堂に安置されている。小谷城跡から実宰院の途上には、三姉妹の侍女の墓がある。
信長の妹・市との間に二男三女をもうけ仲睦まじく湖北を治めていた長政だったが、信長の越前・朝倉氏攻めで様相は一変した。1570年(元亀元年)、信長より朝倉氏との同盟を重んじ、信長と戦うことになる。同年6月には、浅井・朝倉連合軍と織田・徳川連合軍が姉川でぶつかり、川が赤く染まるほど戦死者が出たという。野村橋のたもとに死者を弔う碑が建ち、信長が陣を構えた陣杭の柳、家康の陣があったと伝わる勝山などがあり、激戦の様子を今に伝える。
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