春のにいがた朝ごはん 鵜の浜・佐渡・えちごせきかわ
にいがた朝ごはんプロジェクトでは四季ごとにメニューを変える。21地域が参加する春のにいがた朝ごはんのなかから3つを紹介する。
鵜の浜温泉「地魚天日干し」
「地引き網で獲った魚が食べられる思い出に残る味」をテーマに据えた。冬の朝ごはんでは、地元で「キスよりメギス」と好んで食べられるメギスの天日干しを朝食に出し好評だった。日本海に面した鵜の浜で期待されるのはやはり魚と、春も地魚で勝負する。
鵜の浜温泉では春から秋にかけて「地引き網体験」が行われている。この地引き網で獲った魚が朝食に乗るとしたら楽しみは倍増しないだろうか。春の獲物はメギス、サワラ、アジ、ホウボウ、カレイの類。自然相手の地引き網漁だから、なにが獲れるかは分からない。
ただし、その日の魚をそのまま朝食に出すのではない。鵜の浜の風と太陽で天日干しにして、魚のうまみを凝縮してから提供する。
鵜の浜温泉では、高田城百万人観桜会の期間中、会場まで毎日シャトルバス(有料)を走らせる。夜桜見物の翌朝は、地魚天日干しの朝ごはんが待っている。
佐渡「春採れワカメのしゃぶしゃぶ」
佐渡の宿が朝ごはんに選んだのは魚ではなく海藻。「春採れ 佐渡産ワカメしゃぶしゃぶ」で勝負する。
過去に提供した「佐渡産春採れ海藻しゃぶしゃぶ」はワカメ、メカブ、ナガモ、銀葉草など海藻の種類の多さが好評だった。さらにインパクトをつけて、佐渡に来た喜びを感じてもらうにはどうしたらいいか。佐渡の宿が選んだのは海藻の種類をもっと増やす方向とはまったく逆の絞り込みだった。
吟味の末に選んだのが海藻の王様「春採れワカメ」。あえて日本中どこでも食べられるワカメを出し、佐渡のワカメの違いを体験してもらう。メニューにはっきりとうたうことで、ワカメがなかったらほかの海藻でという退路を断ち、より良質なワカメの提供に目の色を変える。
冬の荒波に鍛えられて育った佐渡のワカメは、身がしっかりしていて歯ごたえもよく全国の消費地でも評判。ただし、佐渡産ワカメの真のおいしさは鮮度が高いまま流通している地元でしか味わえない。トキの里で佐渡の海産物の底力を確認したい。
えちごせきかわ温泉郷「春まんま」
共通メニューは「ふきのとう味噌」「せきかわ汁」「あねさ漬け」の3品。えちごせきかわ温泉郷の朝ごはん「えちごせきかわ春まんま」。
ふきのとう味噌は鮮度を重視、お土産では得られない繊細な味わいを楽しみたい。「せきかわ汁」は濃厚な大豆の味わいに、せきかわ豆腐と山菜がたっぷりと。そして5、6種類の旬の野菜を味噌で漬け込んだ名物でおかあさんが漬けたを意味する「あねさ漬け」。
地元自慢の食材を使うだけでなく、地元料理を受け継いできたおかあちゃん方と宿のプロの料理人が協働し、せきかわならでは、それぞれの宿ならではの味わいに満ちた朝ごはんを出す。
なかでもあねさ漬けの人気は高い。とてもしょっぱくて、びっくりするけど癖になる関川ならではの味覚だとか。