軍艦島観光で"生"を感じる
13/01/16
「死」と「生」が共存
地震や水害などの災害に見舞われた際、建物が壊れることがある。しかし、人は建物が壊れたら修復、建て直しなどを行って、本来の街の姿を取り戻していく。
長崎港から船で約30分行ったところに軍艦島という島がある。軍艦島という名前だが陸軍、海軍などの軍の関係施設があったわけでも、戦争などに使われる武器を作っていたわけでもない。
軍艦島は今から39年前、1974年に閉山するまで人々が命がけで掘り起こした海底炭坑が半分以上を占め、残りの半分は生活居住区として人々が密集しながら暮らしていた。
石炭は、当時のエネルギーとしてなくてはならないものだったが、エネルギー革命で石炭から石油へと移行し、最後は閉山となった。
人が住まなくなった廃墟は、世界のどこの地でも必ずと言っていいほど苔や草木が建物を覆うように生えているものだが、この軍艦島には緑がない。風や雨などで建物が倒壊し、毎日のようにその表情を変えているが、長年そのままにされていた島の建物は、人の手で修復できないところまできており、今は人が住める状態ではない。
この軍艦島は昨年の12月1日、日本でも公開された映画に出てくる島のモデルにもなっている。その映画ではDead City、死んだ島と表現されており、緑が一切ない姿はまるで戦争後のようでもあり、死んでいる島のように感じることは確かだ。
だが数十年前にはここで働き、生活をしていた人たちがいた。学校で学び、遊び、活気あふれる子どもたちもいて、しっかりとした“生”があった。
天候がよければ上陸することができるようになって3年。自然の力で毎日表情を変えていく軍艦島。ぜひとも一度訪れてほしい。そこには「死」と「生」が共存している。
(九観連福岡事務所 難波友紀)
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