ちりめん街道に往時の香り 与謝野を歩く
11/03/23
与謝野町の町並みを彩るのは、大正―昭和初期のモダン文化。丹後ちりめんの一大産地として栄えた華やかなりしころの面影が、まちのそこかしこに残る。
丹後ちりめんは同町加悦地区を中心に、大正―昭和30年代に隆盛。その後衰退したが、伝統は今も受け継がれ、高級織物として名を馳せている。
加悦地区の旧街道は「ちりめん街道」と呼ばれ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。ちりめんの商家や工場、洋風造りの医院や銀行、役場、駅などが残り、当時の繁栄を伝えている。
街道沿いを歩けば、各家屋の玄関先に揃いのちりめん製の暖簾がかかっていることに気付く。丹後ちりめんのまちとしての矜持が感じられ、統一感ある風情が心地よい。
江戸期建造の旧尾藤家住宅は、地元の名士を代々輩出した家らしく重厚なたたずまい。昭和初期に建てられた洋館も併設しており、洋風の近代建築の威容がそのまま残る旧加悦町役場や旧加悦鉄道加悦駅舎とあわせて昭和モダンの粋を感じさせる。
明治や大正の建築、意匠と洋館のモダンが調和した情景は時代を経て、また新たな感動を呼び起こしてくれる。