山陰海岸ジオパークで「地球を感じる旅」 海岸線を走る
経ヶ岬や琴引浜…地域全体が地質・地形の博物館
丹後半島は”地質の世界遺産”山陰海岸ジオパークの東端。沿岸の海食崖や砂浜など特異な風景は四季折々、風光明媚な表情で我々の目を楽しませてくれる。海岸線を東から西に、地球のダイナミクスを感じる旅へ―。
山陰海岸ジオパークは日本列島がアジア大陸の一部だった約７千万年前から日本海形成を経て現在に至る地質・地形を有し、昨年、世界ジオパークネットワークへの加盟も認定。その地形が持つ意味への理解を深めてから眺めると、景観の味わい深さも変わってくる。
まずは最東端、経ヶ岬へ。駐車場から遊歩道を登ると海抜１４０メートルの断崖に白の灯台がそびえ、眼下一面に日本海の青が広がる。透き通る風とどこまでも続く水平線が心地よい。岬の周囲には約３８０万年前の柱状節理の海食崖も。
白亜の経ヶ岬灯台。
この下には一面日本海の青が広がる
西へ向かうと、海岸段丘に広がる棚田の美しい風景が見えてくる。「袖志の棚田」は地域の人々の暮らしを伝えてくれるもの。よくこの急峻な場所を生かしたものだと先人の知恵に思わず敬服。
日本三景・松島を思わせる「丹後松島」や、高さ13メートルの奇岩・屏風岩といった波がつくり上げた造形美を眺めながら進むと、丹後半島のシンボルともいえる立岩が姿を現す。安山岩の無数の柱状節理からなる岩島は高さ約20メートルにおよび、強大な存在感に息をのむ。
丹後半島のシンボル・立岩。
存在感は間近で
屏風岩は自然の造形美
ここから先は、安らぎの地へ。「鳴き砂」で有名な琴引浜は国の天然記念物・名勝。１．８キロにおよぶ砂浜は、歩けばキュキュッと音を立てる。これは砂が美しいことを示すそうで、ゆっくりと散策すれば心も癒されるだろう。近隣の「琴引浜鳴き砂文化館」でその成り立ちを学ぶのもいい。
夏の琴引浜は癒しを放出。
「鳴き砂」は美しさの象徴
琴引浜鳴き砂文化館で鳴き砂を体験
昭和２年の北丹後地震で現れた郷村断層を過ぎると、夕陽百選の１つ、夕日ヶ浦。奇岩の背後に落ちていく夕陽の幻想的な風景は人の心を和ませるのに十分だ。
ラストは小天橋。天橋立に似ていることからこう呼ばれ、久美浜湾の美しさがまぶしい。
夏は琴引浜や小天橋など海水浴場が点在し、夕日ヶ浦など温泉も豊富。これらを組み合わせた「ジオツアー」で地域全体を身体で味わいたい。
