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山陰海岸ジオパークは地球博物館 自然の造形美に感嘆

但馬地方は大半が山陰海岸ジオパークのエリア内。特異な地質環境が生む景観は、地球の息吹を感じさせる神秘性に満ちている。但馬海岸部を東から西へ"地形・地質の博物館"を走る―。

地質・地形の世界遺産で感じる地球の息吹

同ジオパークの地質・地形は、日本列島がアジア大陸の一部だった約7千万年前から日本海形成を経て現在に至るもの。昨年、世界ジオパークネットワークの加盟が認定され、地域全体が観光、学びに貴重な存在だ。

JR豊岡駅を起点に、まずは豊岡市のジオサイトへ。円山川を北上すると現れる玄武洞は、多角形の玄武岩の石柱が縦に横に斜めにと規則正しく並び、巨大な洞窟を形成している。約160万年前の火山活動によってつくられた造形美は自然の神秘を感じさせ、見る人を圧倒。地球の磁場が反転した時期があったことを示すという説明を受けると、もはや人智を超えているというほかない。

玄武洞

玄武洞の壮観な眺めは圧倒的。
神秘性すら感じさせる

円山川河口から海岸線へ入ると、日和山海岸が広がる。磯浜と流紋岩質の大岩壁が織りなす風光明媚な景観は、城崎マリンワールドから眺めるのもいいだろう。

海岸線を東西につなぐ但馬漁火ラインを走り、西へ。竹野海岸一帯では、竹野浜海水浴場の白砂遠浅の景観が美しく、切浜海水浴場先の「淀の洞門」は波の浸食でできた洞窟に流れ込む海水が轟音を立てる。海面から突き出た2本のロウソク状の礫岩の間に球状の礫岩が挟まる「はさかり岩」もあり、見どころは豊富だ。

淀の洞門

淀の洞門は豪快な波の飛沫と
轟音に自然のパワーが充満

はさかり岩

なんでこうなったんだろう?はさかり岩

香美町に入り、民宿が点在する佐津、柴山の町並みを眺めながら香住海岸に入っていく。香住海岸は岩石による隆起海岸の風景が多彩で、洞窟や断崖、奇岩など少し進めば表情を変える"地質・地形の宝庫"だ。

今子浦は、かえるの形をした巨岩「かえる島」がシンボルとしてたたずむ。その姿は愛嬌さえ感じさせ、周辺に広がる千畳敷と透明の海と相まって心を和ませてくれる。また、奇岩と海のコントラストが演出する夕陽の美しさも特筆もの。

かえる島

今子浦の「かえる島」。
ユーモラスな形に心が和む

香住海岸の中でも圧倒的な景観を誇るのが「鎧の袖」。幅約200メートル、高さ約70メートル、斜度70度におよぶ、約1千万―300万年前に形成された断崖は美しささえも大迫力で迫りくる。周辺には柱状節理、板状節理が見事な鷹の巣島や孔雀洞門など景勝地が点在。"三姉妹船長"で知られる香住海岸「遊覧船かすみ丸」で海上から眺めれば、その素晴らしさが手に取るようにわかるだろう。

鎧の袖

圧倒的な景観、その名も「鎧の袖」

但馬西端域、新温泉町・浜坂海岸を目指す。その手前、但馬御火浦は海岸線に海食崖などの奇岩が続き、地層の断面や断層など地球の歴史があらわに。浜坂海岸では「日本洞門」や「亀山洞門」といった洞門・洞穴が多く並び、「但馬海岸遊覧船」で壮大な海岸美を間近で眺められる。

海岸線を走破したが、内陸部でも扇ノ山や、鉢伏、神鍋各エリアに見どころが。なかでも神鍋高原は噴火口など火山活動の跡を追うトレッキングも味わい深く、海とは違ったジオの楽しみを教えてくれる。

現地でジオを体感しながら、香美町の「海の文化館」、浜坂海岸の「山陰海岸ジオパーク館」で体験的に学ぶことでより理解が深められる。空も海も青く輝く春夏、この絶好の機会にジオツアーへ繰り出そう。

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