秋は鮭一色 伝統学ぶ「鮭ものがたり」/村上
世界に誇る鮭王国
新潟県最北部、名勝笹川流れを挟んで山形県と接する村上市。城下町の風情が残り、街歩きが魅力の中心街と、開湯110年の瀬波温泉という海浜温泉リゾートの2つの顔を持つ。
村上観光の秋の主役は鮭。10月から12月上旬にかけて、市内を流れる三面川や大川に鮭が遡上する。村上では、平安の昔から鮭が特産として知られ、世界に誇る鮭文化を築いてきた。世界で初めて鮭の回帰性が発見され、世界初の自然ふ化による増殖が行われたのも村上で、いわば鮭の聖地とも言える。

伝統漁法「いぐり網漁」
鮭の生態や村上の鮭文化や歴史を体験できるのが、日本で最初の鮭の博物館「イヨボヤ会館」。三面川に面した広大なサーモンパークの一角に位置し、見学のあとは散策も楽しめる。
イヨボヤ会館の目玉施設となっているのが、復元した三面川の分流「種川」を泳ぐ天然の鮭を見ることができる「三面川鮭観察自然館」。全長50メートルの観察エリアには10カ所の窓があり、水中を観察できる。遡上するサケの群れや、産卵シーンを観察できるかもしれない。

イヨボヤ会館では復元した
三面川分流を観察
この復元された種川。世界で初めて鮭の自然ふ化増殖を成功させた江戸時代の村上藩士、青砥武平治が考案したもの。鮭が産卵しやすいように人工の分流を設け、分流での漁獲を禁止することで結果として漁獲量が増え、村上藩の財政に大きく寄与した。館内には青砥武平治の記念コーナーが設けられている。
10月1日から、村上市で「越後村上鮭ものがたり」が始まる。食べて、見て、さばいて、そして鮭文化の歴史を学ぶイベントが目白押し。三面川での伝統漁法の見学や鮭の塩引き体験、12月上旬から下旬には塩引きした鮭を軒下に吊るし往時の街道風景を再現する「越後鮭塩引き街道」など、鮭にまつわる様々なシーンが見られる。
鮭の字が魚偏に十一十一と読めることから11月11日を「鮭の日」に制定している村上市。鮭の日には市内の神社で鮭魂祭が行われる。
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