鯨とともに生きる 南紀の日本遺産、捕鯨文化伝える
17/04/27
熊野灘沿岸に根付く風土
雄大な大海原に臨む和歌山県・熊野灘沿岸地域では江戸時代以降、捕鯨文化が根付いている。この地域固有の文化は、文化庁の日本遺産に、その名も「鯨とともに生きる」として認定。今も当時の捕鯨を物語る風景が残り、祭事や芸能、食に捕鯨とともに生きてきた地域文化が息づく。「水の国」を標ぼうする和歌山県を知るには欠かせない捕鯨の風土を求めて、南紀を訪ねたい。
日本遺産は、地域の文化財をつなぎ、その価値や魅力を伝える「ストーリー」を観光振興に生かそうというもの。新宮市と那智勝浦町、太地町、串本町が対象地域。
熊野灘沿岸地域では、古来は神として崇めた鯨に感謝しながらも江戸時代に捕鯨の道を歩み、地場産業として発展。今も捕鯨がもたらした文化とともに地域は暮らしを営んでいる。日本遺産の構成文化財を訪ねれば、このストーリーにおのずと触れられる。
代表的な構成文化財は、太地町には捕鯨の祖である和田頼元の墓がある。この地で古式捕鯨を始めた頼元の存在を知らせる貴重なスポット。新宮市の三輪崎の鯨踊は、古式捕鯨時代の大漁祭りを起源としたもので、踊りを通して捕鯨の風景を伝えている。
串本町の河内祭の御舟行事は国の重要無形民俗文化財にも指定。祭りのハイライトである舟渡御に登場する装飾された鯨船は、かつて捕鯨が地域の重要産業だったことを教えてくれる。7月24、25日に執り行われる。那智勝浦町の塩竈神社の例祭「せみ祭り」は古来からの浦神と鯨の関わりを今に伝える。毎年1月に開催。
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