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阿蘇門前町商店街法人化へ 魅力ある地域づくりに注力

現状を見てもらって支援 “九州観光の要”を再認識

熊本地震から5カ月。阿蘇の各地で復興に向かっての取り組みが行われている。商店街や観光協会、立ち寄り施設の関係者に現在の状況や取り組みについて話を聞いた。

阿蘇神社に隣接する阿蘇一の宮門前町商店街の2代目若手経営者で組織する「若きゃもん会」代表の杉本真也さん(とり宮社長)は「国の重要文化財である阿蘇神社の楼門が崩壊しましたが、地震前より飛躍した商店街にしたい」。

商店前の水飲み場を観光客に利用してもらう水基巡りや商店街に畳を敷いて桜を愛でるお座敷商店街のほか、金曜夜市、蚤の市などユニークなイベントを開いてきた門前町商店街。年間35万人が訪れ、インバウンド客も増加傾向だった。そんなときに起きた熊本地震。

「商店街では人的被害はなかったのですが4店が損壊し、観光客は激減しました。ただ地元ではあれだけの地震で大きな被害にならなかったのは、阿蘇神社が身代わりになってくれたからだと捉えています。現状に満足するのではなく、もっと魅力ある商店街になるよう努力すべし、と自然界から宿題をもらった」と杉本さん。

阿蘇一の宮門前町商店街

阿蘇一の宮門前町商店街

杉本真也さん

「若きゃもん会」代表の
杉本真也さん

阿蘇一の宮門前町商店街

商店街に畳を敷くお座敷商店街

その第一歩として、7月には一般社団法人阿蘇門前町商店街振興協会を設立した。商店街を法人化することで、行政に頼ることなく街路樹や路地を整備するなど商店街を活性化し、魅力ある地域に育てていく考えだ。

「阿蘇神社は解体に4年、調査に2年かかり、元の姿になるのには10年かかるそうですが、再建していく姿を何回も見に来てほしい」と呼びかけ、観光客が来るたびに満足してもらえる商店街づくりに注力するという。

阿蘇市観光協会会長の稲吉淳一さん(阿蘇プラザホテル望蘇閣)は、2012年の豪雨による水害、15年の阿蘇中岳の噴火と災害が続いている状況を踏まえ「ここまでいろんなことがあると、何でも受けて乗り越えてやる、というファイトが出てきます」と、意気軒昂だ。

「今年2月、人手不足で途絶えていた阿蘇草千里ケ浜の野焼きが50年ぶりに復活しました。野焼きをしたことで例年以上にきれいな景色を見ることができるので、ぜひお越しいただきたいですね。あちらこちらに地震によって変わってしまった景観がありますが、地震によって自然の景色がどのようになるのかを知ってもらえたらとも思います」

地震の影響で施設の崩壊や温泉が出なくなった旅館も、現在は地震前の状況に復興。「旅館組合加盟の21施設は営業を再開しています。再度掘削し直したところは逆に温度が高くなったところもあります。新しい温泉ですから『NEW湯手形』を発行し『NEW浴』としてのアピールも考えていきたい」と話し、冬期までに国へ熊本市内からの国道の仮復旧申請やJR大津駅からの送迎バスの運行にも取り組む。

稲吉淳一さん

阿蘇観光協会会長の
稲吉淳一さん

米塚

地震の影響がありながらも美しさを保つ
米塚の景観

草千里ケ浜でレストランと土産店を経営するニュー草千里社長の河津朋大さんは地震以降、阿蘇登山道路の通行止めの影響で営業停止を余儀なくされた。

「これまで草千里ケ浜で何の疑問もなく当たり前のように商売をしてきました。しかし今回の阿蘇登山道路の通行止めで、熊本観光だけではなく九州観光にとっていかに重要な場所だったかを気づかされました」

九州観光の中心部であり、九州のへその部分に当たる阿蘇。阿蘇周辺が観光地の集積地というだけでなく、大分や長崎、鹿児島、宮崎などと結ぶ国道や県道でつながって九州の周遊観光を可能にしてきたことを、今回の地震で知ったという河津さん。

9月16日に阿蘇登山道路吉田線が開通したことで「これを機に多くの人たちに阿蘇へ来てもらって、現状を見ていただきたい。登山道路の開通が阿蘇観光の復興の一歩になれば」と話している。

河津朋大さん

ニュー草千里社長の
河津朋大さん

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