朝来・生野―日本近代化の香り漂う 但馬まち歩き(1)
14/03/26
鉱山町の風情が凝縮
朝来市生野町はかつて生野銀山で栄えた鉱山町。JR生野駅周辺の口銀谷地区には旧鉱山社宅や洋館、町家などが残り、日本の近代化の一翼を担った往時のたたずまいに満ちている。
生野の鉱山町の町並みは、現役鉱山都市ながら昨年11月に国の重要文化的景観選定の答申を受けた。町家の格子、鉱石の製錬時にできる不要部分を固め塀などに活用したカラミ石、洋館、トロッコ道など、散策すれば往時の繁栄と鉱山町ならではの風景に日本の近代化の香りが感じられる。
旧生野鉱山職員社宅は明治、大正、昭和の3時代の社宅を再現。日本初の官舎として使われた当時の暮らしぶりがうかがえ、比較的裕福な生活感がにじみ出ている。明治期の建物は地元出身の昭和の名優、志村喬の記念館になっており、映画ファン必見。
江戸時代建造の郷宿を改修した観光拠点施設「生野まちづくり工房井筒屋」は国登録文化財。豪壮な趣きが幕府直轄領だったこの地の生活文化を伝える。ギャラリーや土産販売もあり、地域の交流の場になっている。
井筒屋内に事務局を置く「口銀谷の町並みをつくる会」の斉藤敬子さんは「歩いて回れる範囲に貴重な資源が残されています。鉱山町・生野が持つ独特の雰囲気を感じながら歩いてもらいたいですね」と話している。