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隠岐コラム 風にゆだねる心地よさ

どうしても「ゆっくりしてしまう」

隠岐空港に降り立つと、離島ならではの空気感を感じた。沖縄と似ているのかなとも思ったが少し違う。いずれにせよ都会とは流れる空気が違うというのが誰もが気付くだろう。

島後で岩倉の乳房杉や浄土ヶ浦、壇鏡の滝などをめぐり、山間の田園地帯や西郷港周辺の港町を歩いた。西ノ島では摩天崖など国賀海岸の絶景に感嘆の声を漏らし、海士町では「あまんぼう」から覗いた海中の神秘に好奇心は全開。知夫里島では“牛渋滞”を経験し赤壁の脅威に恐れをなした。そして泊まって、何も語らず何も考えず久しぶりにぼんやりとした。

滞在中は海士町観光協会主催の「吟行ツアー」と行く先々で出くわした。後鳥羽上皇ゆかりの地が企画したツアーの参加者はのどかな風土に身を委ねながら、歌に思いを込めるべくじっくりと吟味を重ねていた。いたるところで見かけた花々、各島で出会った人たちの心の垣根の低さも印象的だ。

2泊3日の駆け足で4島を巡って感じたことは、やっぱり空気感。隠岐は隠岐なれど、4島それぞれで雰囲気が違うようだ。詩人風に言うなら「風が違う」といったところか。島後は山と人の風、西ノ島は壮大な海の風、海士町は活気と雅の風、知夫里島はそれこそのどかな風。ある程度特徴が頭に入っていたこともあるだろうが、訪れてみると実際にそんな感じがした。

ただ、「圧倒的」と「のんびり」の二言で4島は共通する。日常の煩わしさはたちまち消えて、どこからか「まあ、ゆっくりしていけよ」という声が聞こえる気がした。

(な)

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