三徳山三佛寺の米田住職に聞く「三朝温泉との関係」
三朝温泉観光協会の理事で三徳山三佛寺の住職、米田良中さんに大山隠岐国立公園に編入された三徳山、開湯850年を迎えた三朝温泉について、どのような感想をお持ちなのか、話を聞いた。
深い歴史的関係を重視
三徳山は役行者(えんのぎょうじゃ)が3枚の蓮の花びらを散らし「仏教に縁のあるところに落ちるように」と祈ったところ、その1枚が三徳山に落ち、修験道の行場として開かれたのが始まりとされています。706年のことです。2006年には開山1300年を迎えました。
849年に慈覚大師が阿弥陀如来、大日如来、釈迦如来の三尊を安置したため、天台宗三徳山三佛寺と称され、堂舎38、寺3千軒、寺領1万町歩、3千石を領していたといわれます。
今回、三徳山地域の大山隠岐国立公園への編入が決まりました。地形と歴史文化、希少性が決め手となったようです。
ブナ林は標高900―1千メートルに分布しているといいます。しかし三徳山では400―500メートルにブナ林が目立ち、通常はブナ林より低い場所にあるアカマツ、アカガシなどが450メートル付近で分布し、植物相が逆転しています。山麓の三徳川や垢離取川が作る深い谷からくる冷気の影響から生じる現象だそうですが、我々からすると神秘的なものを感じます。
今年、三朝温泉は開湯850年を迎えました。850年前といえば源平合戦の時代で平清盛率いる平家の全盛期です。その頃、源頼朝の家来、大久保左馬之祐という武士が三徳山に源氏再興の祈願に来て白い狼に出会い一度は弓で射ようとしましたが、思いとどまり見逃しました。
その夜、左馬之祐の夢に妙見大菩薩が現われ、白い狼を助けたお礼にと、温泉の場所を教えたのが、現在も株湯といわれ楠の古木から湧く三朝温泉の源泉です。
こういった歴史的背景を考えると三徳山と三朝温泉は切っても切れない関係にあります。
開湯850年という節目の年に国立公園に編入されたことは意義深く、三徳山の歴史文化や希少性を三朝温泉の類まれな温泉力を合わせて情報発信し、多くの人に訪れてほしいですね。