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51番札所・石手寺に四国遍路発祥伝説

弘法大師と豪農の逸話

四国遍路発祥の伝説が石手寺に残っているので紹介しておこう。

天長年間、伊予に豪農の衛門三郎という者がいた。あるとき、みすぼらしい身なりの僧が現れ何度も托鉢しようとしたが、三郎は追い返し、8日目に三郎は僧の鉢を竹のほうきで叩き落とした。鉢は8つに割れ、僧も姿を消した。この僧は弘法大師だった。

8人の子がいた三郎だったが、その後毎年子を失い8年目には皆亡くしてしまった。悲しんでいる三郎の枕元に大師が現れ、あのときの僧が大師だったことを知る。

三郎は悲しみと懺悔の気持ちから、大師を追い求め四国巡礼の旅に出て、21回目の遍路で大師と巡りあうが、三郎は病で息を引き取る寸前だった。

「来世は伊予の領主に生まれたい」と言って亡くなった三郎に大師は、道端の小石に「衛門三郎再来」と書き、手に握らせた。

その翌年、領主・河野息利に長男が生まれたが、その子は左手を固く握って開こうとしない。安養寺の僧が祈願し、やっと開いたその手から「衛門三郎」と書いた石が出てきたので、これまでの安養寺という名から石手寺に改め、小石は現在も石手寺の寺宝となっている。

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