平家落人の里を歩く 養父・横行渓谷
12/10/15
悲しい姫の伝説に思いを馳せる
大河ドラマ「平清盛」ゆかりの地が注目を集めるが、但馬にも平家の物語が残る。ある姫の伝承を追って、養父市の渓谷を歩く。
同市大屋町から氷ノ山への登山コースにある横行渓谷。美しい清流と並行する林道を歩くと秋はブナ林が赤黄に輝く。渓谷入口には「ぶなのしずく」と呼ばれる湧水がのどを潤してくれる。
この地に息づく平家の伝説を知るとさらに奥深い散策に。平家一門の姫は源氏から逃げる途中、この渓谷の岩盤の丘に「平家ヶ城」を築き、身を隠した。城下の見張り場に立てた旗が倒れると源氏が攻めてきた合図としていたが、台風で旗が倒れたのを見て、渓谷に身を投げたとされる。
その場所は「姫ヶ淵」と呼ばれ、今に伝わる。平家ヶ城跡近くには休憩所が置かれ、城があった岩盤の丘も間近に。悲しい落人伝承に思いをはせ、静かで美しい渓谷を歩くのも趣深いだろう。