秋冬早朝の「天空の城」のまちづくり 朝来・竹田城跡
12/10/15
静かなまちに賑わい 誇りをいかに生かすか
朝来市の竹田城跡。標高約350メートルの山頂にたたずむ城跡は秋冬の早朝、雲海に包まれ、“天空の城”として人気を集める。幻想の歴史世界を求めて竹田のまちを行く。
竹田城跡は、室町―安土桃山期の城郭で、南北400メートル、東西100メートルにおよぶ石垣の遺構。石垣の精巧さと威容、眼下の澄んだ風景が、歴史と自然の神秘を伝える。
そして、雲海。9月下旬―12月上旬の早朝、立ち込めた雲から城跡が顔を出す姿は幻想的で神秘的。向かい合う立雲峡から眺められ、今期も多くの来訪が予想される。
同市はこの人気をまちづくりに生かすべく「竹田城課」を4月に新設。着地型観光を主眼に施策を検討するが、主幹の桐山俊行さんは「発展途上」と課題を口にする。
城跡の昨年度の入込は過去3年で4倍となる約10万人で、ツアー客もひっきりなしの状態に。この急激な増加に交通面の整備が急務だという。「史跡管理という大前提もあり、多角的に考えたい」と桐山さん。
次に城下町の活性化。JR竹田城周辺を歩くと古い街並みが趣深いが、観光客を受け入れる施設は少なめ。しかし「最低限のハードを整備するかなど住民と意見交換している最中」(桐山さん)だが、土産物店や休憩処ができ始めた。来年11月には酒蔵跡を活用した観光施設もオープン予定。古民家施設と旅館、レストランが設置され観光拠点としての期待が高まる。
桐山さんは「まちづくりでも難攻不落の城だが人気を活気につなげ、いいサイクルをつくりたい」と力を込める。
高倉健さん主演の映画「あなたへ」でも誘致なしに製作者側からロケ希望があるなど、その価値は掛け値なしの竹田城跡。旬の秋冬、一層の飛躍を期待したい。