大地の造形・ジオパークを行く 新温泉・但馬御火浦
12/10/15
間近で見る地球の息吹
山陰海岸ジオパークの魅力は景観と風土。本当のジオを知るためには場所を絞って間近で触れることも一興だ。奥深くジオに迫るため、今回は但馬御火浦を歩く。
新温泉町三尾地区。町中心部から山間を越えると見えてくる海辺の集落だ。国名勝・天然記念物である但馬御火浦で人々は暮らしている。
高台の展望台からは三尾大島など但馬御火浦の絶景が一望でき、承久の変で敗れた後鳥羽上皇がこの地で詠んだ歌碑が立つ。小さな漁村・小三尾集落へ。港には漁船が数隻並び、人々が淡々と漁業に従事している日常が目に入ってきた。タイやサザエ、アワビなどが獲れる天然の良港で、アオリイカ釣りでも有名だという。ジオのもとで魚が人が生きている。都会の喧騒からはほど遠い空気感と静寂さが、静かな癒しを運んでくる。
漁船の船長に声をかけると、渡船でより近くで但馬御火浦を見せてもらえることになった。船長の案内で、柱状節理が見事な三尾大島や、世界最大級の洞門「釣鐘洞門」などに近づく。日本海の荒波で形成された荒々しい岩肌、奇岩をここまで近くで見ることはそうない。自然の迫力に息をのむほかなかった。
柱状節理が見事な三尾大島
鮮やかで驚くべき光景と日本海特有の迫力、人々の暮らし。すべてがジオの魅力を形成している。但馬御火浦へは浜坂港から但馬観光遊覧船を利用しても楽しめる。
