統一された門前町 穏やかな空気に安心感
11/06/09
「田舎へ帰ったような」
阿蘇神社の横参道に位置する門前町は、22の水基(水飲み場)と昔ながらの街並みを現代風にアレンジした風景が広がる街。飲食店や銀行、電気店まですべての店が店頭に同じ黒の立て看板を置いて、看板には店の説明書きが記されている。
また、食べ物の包み紙ひとつにしても他の店と統一されており、この街を地元の方々が皆で協力しあって作り上げているように感じた。
門前町は「水基巡りの街」と呼ばれるほど有名であり、一ノ宮地区の豊富な湧き水を多くの人に飲んでもらおうと十数年前から水基を22カ所設置し、一般の人に振る舞っている。それぞれに名前が付けられた水基が店の横にあり、とめどなく流れる湧き水は、飲み水や打ち水など生活の一部として使われている。水をかけると文字が出てくる「御神水おみくじ」といった水基をうまく使った取り組みも実施。この地域の特性を生かしたものだけに、筆者も「占って」みた。
観光客は馬肉が入った名物コロッケ「馬ロッケ」などを食べ歩き、喉が渇けば水基から湧き水を汲んで喉を潤す。そんな緩やかで贅沢な時間がここには流れていた。古いけれど新しい。昔ながらの街並みが現代の若者に受け入れやすいようレトロモダンな街として生まれ変わっている。
街の一体感と水基の音、穏やかな空気が、どこか田舎へ帰ったような安心感をもたらしてくれた。
(九観連大阪事務所・長冨彩)